人を動かすルールをつくる――行動法学の冒険

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人を動かすルールをつくる――行動法学の冒険

  • ISBN:9784622096085

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内容説明

「行動科学が法を理解するのに不可欠なことを気づかせてくれる良書」R・チャルディーニ。死刑の効果から税務コンプライアンスまで。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Sam

45
冒頭で著者の問題意識が語られる。曰く、「行動主義革命は経済学や倫理学などの分野を根底から揺さぶったがロースクールのカリキュラムではほとんど無視されている」。行動経済学が昨今これほど隆盛を誇っているのに法学の分野に行動科学の知見が取り入れられていないとすれば確かに不思議な気がする。本書で説かれる様々な「行動コード」や実証研究の結果(厳罰化に効果は乏しいこと、むしろ公平性の観点が重要であること等)はとても興味深いものであったし、法学界への様々な提言もどれも肯首できるものと感じた。広く読まれるべき一冊と思う。2023/07/13

coldsurgeon

10
法を制定して守るあるいは守らせるということは、ずいぶんと昔からなされているが、それが社会をよくしているという気がしない。法律がうまく機能して私たちの安全を守るのであれば、すべての人が恩恵を受ける。社会に暮らす人は法律に従わなくてはいけないが、法律が自由を制約してコストを誘発するだけで安全な社会を提供しないのであれば、その負担に苦しむ。人の行動の改善に役立つ能力を法律が向上させ続けるために必要なことは何か。それは行動科学に基づいた法律の制定、その運用解釈が求められる。豊富な科学的データと解釈が圧倒的。2023/07/29

Meistersinger

4
単に法律を作っただけでは人は遵守せず、それを促す仕組みが必要とする行動経済学の流れを汲む動き。再読決定。2023/11/07

tenorsox

4
法律に関わる人々(学者、弁護士、役人等)の議論が法体系や量刑に偏りがちで、「どうしたら法律を守ってくれるか」という科学的視点(社会学、心理学)をもっと取り入れるべきとの主張。完全に浸透したシートベルト着用と一向に守られない制限速度、お迎え時間への遅刻に罰金を科したら逆に増えてしまった保育園といった身近な事例も含め、行動経済学の本で見かける有名な心理実験の数々(マシュマロ実験等)や過去の犯罪データからの考察(極刑による抑止効果の有無等)まで幅広く展開している。これらを受けた巻末の提言にも頷けるものが多い。2023/09/07

鏡裕之

4
厳罰化は犯罪抑止や犯罪減少に効果はない。他人を罰して快感を味わいたい他罰欲求を満たすだけ――。なかなか衝撃的な事実に驚かされる。犯罪抑止や犯罪減少に効果があるのは、確実性と周知性。つまり、罪を犯せば確実に捕まる、罰せられるという確実性があること。そして、その確実性が周知されていること。直感的に脊髄反射で規制や厳罰を叫ぶ前に、まず本書を読みたい。たぶん今年2023年度の本の中のベストスリーに入ると思う。みすず書房に感謝。2023/05/18

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