内容説明
あなたと私の「違い」を丁寧に話したい。
「わかりやすく話そう」を突き詰めた結果、
僕たちの会話はただの情報のやりとりに陥っていないだろうか。
上間陽子氏に、坂口恭平氏に、濱口竜介氏に、
人が本当のことを口にする瞬間について聞いて考えたこと。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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12
【誰しもわかってほしいがわかられたくはない気持ちを抱えている(P.228)】自分だけ地球語ができない、と否定で溺れそうな脳内に、厳しくて優しい問いが次々投げ込まれる。最後まで葛藤は続くけれど、どこかでストーリーは変わっていく▼坂口恭平さん「ほとんどの人にとってこの世は地獄であることが前提で、すべての会話の先に地獄が待っている」…この"前提"は絶望ではない。もし共有できれば、もっと会話が楽しくならないか?と捉えたくなった。どうせゴールが同じなら、無理に上手くやろうとしなくてもよくなるから。2023/06/06
ちから
7
良かった。特に3章のユマニチュードを知れたこと。ユマニチュードは介護の技法。これは人間のコミュニケーションの基本だと感じた。子どもも大人も老人もない。「親密さは適切な距離感を失わせるという危惧について」創設者イヴさんは「適切な距離感などない」「人間は距離感のある関係なんか求めてない」と答える。あなたをあなたとして認める。それだけでいい。でもそれが難しい。2024/07/17
リン
7
著者の聞く、聴くは相手のことを『感じる』と解釈。 人には言葉にならないことが沢山あって、言語とは非常に有能だが完璧ではない。そのため、相手の話を聞くのではなく相手を感じることが大切なのだと思った。 『感じ方』もただ自分と相手の共通点を見出す共感ではなく、事実として『感じる』ようなイメージか。 2023/08/05
akarick777
7
濱口竜介監督の言葉が読めたのが嬉しかった。言葉にするということは、言葉にしないこともあるということを覚えておきたい。2023/07/24
7ember
4
面白かった。学術書ではないが、エッセイというにはやや硬派な文体。いい意味で一貫性がないというか、時々、前の章の内容を次の章の内容を打ち消しているように思える記述があったのだが、そこが著者の思索の息遣いを感じさせて魅力的だった。上間陽子氏の著作は自分でも読んでみたいと思った。2024/03/16