内容説明
妻を救うため、絵師は京の闇に踏み込んだ――。 異界が見える絵師土佐光信は、都の空に不気味なひび割れを見た。そんな折、妻が囚われの身に。光信は心優しき友箕面忠時や、不思議な女〈つづれ〉の力を得て、見えざる戦いに挑んでいく。幽鬼が群れ、地上に慟哭が満ちた時、謎の神獣が姿を現した。瓦解に瀕した都を守るため、光信が取った命がけの最終手段とは……。感動を呼ぶ傑作。(解説・末國善己)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
54
『幽玄の絵師』の続編。『幽玄~』はまだ若い(幼い)土佐光信を描き嘉吉の乱から応仁の乱前夜までの瑞々しい物語だったが、この作品は応仁の乱の時代。『幽玄~』と重なる登場人物が多いので『幽玄~』を再読してじっくり復習してから読んだ。隠居後の義政の時代も描いてほしいと願う読者である。2023/06/03
優希
40
面白かったです。見えざる戦いに挑む光信。異界が見えるからか、幽鬼が群れ、謎の神獣の姿が見えるのだと思います。都を守るため命をかける姿が刺さりました。時代ファンタジーの魅力が詰まっています。2023/11/26
よっち
28
ある夜、都の空に不気味なひび割れを見た異界が見える絵師土佐光信。凶兆か幻か。そんな折、突然妻が囚われの身になってしまう第二弾。山名宗全と細川勝元の陣営に分かれて相争う応仁の乱が勃発する状況で幽鬼が群れ、遺体に火蛾が飛びかい、姿を現す謎の神獣。心優しき友・箕面忠時や不思議な女〈つづれ〉の力を得て、大切な人たちを守ろうと光信が見えざる戦いに挑む展開でしたけど、仏画を依頼してきた上皇に光信が献じた絵がなかなか印象的でしたね。仲間たちと協力しながら御所や大切な人を守ろうと奔走する光信の思いが報われて良かったです。2023/06/26
陽ちゃん
8
続編だったんですね。妖が見える室町時代の絵師土佐光信が、妖たちの手を借りて大切な人たちを守ろうと奮闘。絵師であり物理的に戦う力は持たないものの、友や妖との縁を利用して御所を、強いては民を守ろうとする光信の願いが報われてほっとしました。2023/06/18
Steppenwolf
0
F新幹線で博多移動中に読了.御用絵師土佐光信を主人公とする応仁の乱前夜の京都の街を描くファンタジー第二弾。絵師だけあって常人には感知できない人でないものと交流できる設定である.明からきた大壺の妖怪などからアドバイスや力を貸してもらう.室町第は私の出た小学校の南側でそこに池があったことになっているがホントなのか作者は調べて書いたのか敢えて創作したのかわからない.というのは明治以降そのあたりは人家になっているからである.ただ応仁の乱前夜の緊迫する状況を描いている。応仁の乱の本を購入してしまった.2023/09/26