内容説明
体が不自由になった許嫁との結婚を反対され他家に嫁いだ女を、
男は想い続ける――表題作「たば風」ほか、夫との離縁を目論む女が
息子に課された難題に奮闘する「恋文」、松前藩主の正室に仕えるべく
集められた娘たちの青春「血脈桜」など、江戸後期から明治初期にかけて
蝦夷地で生命を燃焼させた男女を描く傑作六編。
自身の郷土を舞台とした時代小説短編集。
解説=梶よう子
※この電子書籍は2023年5月に刊行された文春文庫(新装版)を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rokoroko
20
大河ドラマべらぼうで松前藩が出てきたので宇江佐氏の本検索。短編集。松前藩の武士や家族の物語。たば風とは霊魂が吹かせる悪い風だそうだ。時代が変わり松前藩だけでなく江戸から明治に変わる時は大きな変化に嘲ろうされた人々がたくさんいたのだろう。2025/06/21
マツユキ
14
幕末から明治にかけての蝦夷、松前藩に因んだ短編集。熟年離婚とか(『恋文』)、藩主の奥方の護衛役の村娘たちとか(『血脈桜』)、見世物に出演する武家の娘とか(『黒百合』)、時代・歴史小説に詳しいわけじゃないけど、珍しい。地の文に読みづらさを感じましたが、方言もあり、セリフが生き生きとしていて、かっこいい。時代に翻弄されながら、自分を持って生きる男女の姿に感動しました。2024/02/22
ほうじ
0
「恋文」、もの凄い綺麗な一編だった。表題作も良い。2025/03/01
ケンサン
0
●たば風→幸四郎の悲運からまなとの縁談が破談に。最期に幸四郎がまなを救う●恋文→自分の意志とは反して刑部に嫁ぎ、夫の帰藩と共に離婚を決意するみく。息子に強制された恋文を通じて夫への想いに変化が…●錦衣帰郷→貧しい身の上から立身出世を果たした徳内の凱旋と茂右衛門との違和感?●柄杓星→幕末の混乱に引き裂かれる仙太郎と杉代。一夜の恋●血脈桜→主君光子に仕える、うめ、みる、等6人の女たちの数奇な運命…歳三がカッコいい!●黒百合→維新で翻弄される以登と千秋。時代の悪霊に飲み込まれるのは?◯解説→梶よう子さん。2023/11/26