内容説明
ギリシャは世界初のSFが書かれた国でもある。そして「SFというジャンルは、長い歳月の果てにようやく発祥の地にもどって受け入れられた」(「はじめに」より)のだ。
隆起するギリシャSFの世界へようこそ。
あなたは生活のために水没した都市に潜り働くひとびとを見る(「ローズウィード」)。風光明媚な島を訪れれば観光客を人造人間たちが歓迎しているだろう(「われらが仕える者」)。ひと休みしたいときはアバコス社の製剤をどうぞ(「アバコス」)。高き山の上に登れば原因不明の病を解明しようと奮闘する研究者たちがいる(「いにしえの疾病」)。
輝きだした新たなる星たちがあなたの前に降臨する。
あなたは物語のなかに迷い込んだときに感じるはずだ――。
隆盛を見せるギリシャSFの第一歩を。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
はるを
43
🌟🌟🌟🌟☆。2023年から選書のテーマに「解らなさを愉しむ」事を掲げた。そういう意味で本書はその「解らなさ」加減が丁度いい。判断基準は「読み終えられる事」。正直に言うと一読しただけではレビューが書けるほど俺の頭では読解は出来ない。また読み終えてもカタルシスは得られない。でも、読んでいる最中に脳裏に浮かんでくる「絵」がとても繊細で透明感があってスタイリッシュなのだ。書かれていない事を如何に想像したり解釈したりする欲が生まれるのが心地良い。『小説とはストーリーが全てではないよ』と教えてくれる。2023/10/31
Shun
34
ギリシャ発SF作品が読める稀有な作品集。本作の刊行予告は同訳者による「シオンズ・フィクション」にて知り得たものの、おそらくコロナ禍による紆余曲折があったのだろう予定より数年待って漸く読むことができた。ギリシャという土壌から生み出されるSF小説にどんな特色がみられるのだろうと興味津々。神話とかフィクションに事欠かない印象の国も、意外や近現代までSFは育たなかったという。その考察も興味を引くが、まずは貴重なギリシャSFを読める喜びを享受しよう。印象に強く残ったのは海に沈んだ廃墟、エーゲ海を想像しながら浸った。2023/06/04
ニミッツクラス
25
23年(令和5年)の税抜1360円の竹書房文庫初版。概ね未来のアテネをギリシャ作家が描くテーマチクアンソ。先の同社イスラエルSFも同様だが歴史的背景を判っている方が腑に落ち易い。シュワの方じゃない「T2」は胎児段階でのDNA検査の話で、眼の色の差別についてはどこまでが創作なのか? 「われらが…」はデッカードとレイチェルを想起させるレプリカントの哀愁話。「いにしえの疾病」は稀有な疾病の医療SFで、日欧米の短編作家なら一度は使ったネタだと思える。2人の編者は共にイタリア人で…ギリシャ、ガンバ!★★★★☆☆2025/10/09
maja
22
ギリシャ発のSF短編集11篇。非英語圏SF「シオンズ・フィクション」より続けて読んだ。バーチャル世界のふたり、ミカリス・マノリオス「バグダット・スクエア」エーゲ海の絶景が目の前に浮かんでくるようなエヴゲニア・トリアンダフィル「われらが仕える者」などがお気に入り。スタマティス・スタマトプロス「私を規定する色」も面白かった。2023/07/14
春ドーナツ
18
数年前、ある読書作戦を進めるにあたり、現代ギリシア小説を読みたくて探した。ニコス・カザンザキスの「その男ゾルバ」(1946)しか見当たらず。竹書房が「イスラエル」に続いて本書を刊行してくれなかったら、多分ギリシア語を習得しない限り、夢のまた夢で終わっていただろう。訳者代表のあとがきを読んでいて、「フィンランドとかアフリカもお願いしますよ」と思う。近未来を描くことで、現代を批判するというのは、フランシス・ベーコンとかウィリアム・モリスとかもやっている。ちょっとだけ、かの国が身近に感じられた。古代一辺倒もね。2023/04/29
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