内容説明
現代日本の礎を築いた徳川三百年の叡智
イスラーム研究の泰斗として知られる山内昌之東大名誉教授の新たなる挑戦。徳川幕府の通史がついに完結!
上巻は、家康の創業から、家斉の爛熟までを描く。家康の本質は、世界的に稀有な軍人政治家だったところにある。関ヶ原の戦いにおける冷酷な政治リアリズムによって形作られた「天下取りの大局観」は、天皇家を法度の内側へと追い込み、豊臣家を滅ぼすことで徳川の世を現出した。その強靭なシステムは、四代家綱時代の文治政治への転換、八代吉宗時代の享保の改革などを経て、十一代家斉の爛熟の時代、化政時代を生み出すまで続く。しかし、半世紀に及ぶ家斉の時代こそが、徳川の世の終わりの始まりだった。
担当編集者より
NHK大河ドラマ「どうする家康」が話題になる中、家康がどうしたか、がわかる傑作が登場! 関ヶ原での軍人政治家としての家康の冴えは、カエサルに勝るとも劣らない。そこが、江戸幕府270年をパクス・トクガワナと呼ぶ所以でもある。しかし、どんなシステムも永遠ではない。さび付いてきたシステムにテコ入れをして、なんとか徳川の政治体制を維持しようとした吉宗の努力を見事に無駄にしたひ孫、家斉。彼の代に、幕府は終わりの始まりを迎えることになる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
94
題名からは大佛次郎の『天皇の世紀』が思い浮かぶが同様の尋常ならぬ大著。そして著者が中東・イスラームの山内先生というのも驚いた。徳川家による約260年に及ぶ治世「パクス・トクガワナ」について、いろいろなエピソードを綴っていくが単なる通史とは異なり、各出来事の背景につても詳しく、それらを通して政策の戦略的意義を解明していく。関ヶ原の戦いの勝利を足掛かりに家康は豊臣家を滅ぼし、朝廷を法度の中に追い込み、外様大名を抑え込む統治機構を作り上げていく。二代秀忠、三代家光、…と治世を辿って行くと大きな歴史の流れが⇒2024/02/14
KAZOO
87
山内先生による徳川時代を総合的に俯瞰した大著です。大佛次郎の「天皇の世紀」に触発されて書かれたようですが、もとの原稿は文藝春秋誌に連載されていました。私は通読してはいませんでした。しかしながら実際にこのような本になって読んでみるといかに山内先生が事細かな資料を渉猟されていることがよくわかります。この上巻では関ヶ原の戦いから徳川家第十一代の家斉までのさまざまな状況が描かれていて非常に楽しめました。江戸時代を描いた本としては今後の里程標となるのでしょう。2023/09/23
スプリント
8
ボリューム満点。 史実を網羅的に紹介するのではなくテーマを絞って掘り下げているので情報密度が濃い。2023/11/04
TK39
7
徳川幕府の260年余りの出来事を将軍の治世ごとにエッセイ風にまとめている。上巻は家康から家斉まで。幕府の統治の変遷、江戸幕府創設期の後陽成天皇と幕府の確執、将軍になり損ねた?松平定信の政治等々も興味深かった。著者曰く、江戸幕府の瓦解のきっかけを作ったのは家斉の政治であり、その腐敗ぶりも詳細に記述されている。歴史の教科書には記載はあるが、中身をよく知らなかった事件・出来事を知ることができ、勉強になりました。下巻はいよいよ幕末へ。2023/09/18
鈴木貴博
4
山内氏による徳川幕府通史。上巻は家康の創業から、「終わりの始まり」である家斉の時代まで。様々な観点の多くの情報に触れつつ、徳川時代のダイナミックな流れを感じられる。2023/05/21
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