内容説明
初めて、もっと勉強したいって思った。
女子ゆえに進学に苦労した曾祖母つる子は、
ひ孫のわかばと樹に奨学金をだすという。
ただし、そのためにはひとつ条件があって……。
高校受験とバレー部の両立、応援し心配する親からのプレッシャーに悩みながらも、わかばは挑戦するおもしろさを感じていく。
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つる子はこほんと一つ咳払いをして言った。
「奨学金をだすことにしたよ。」
奨学金?
わかばはきいたばかりの単語を心の中でくりかえした。(略)
座敷の空気は一気になごんだ。というか、軽々しいばかりにはずんだ。
だが、次の一言でまたピンと張りつめた。
「ただし、それにはひとつ条件があるよ。」
つる子がぴしゃりと告げたからだ。
(本文より)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
96
99歳ながら元気でポジティブ頑固一徹な曾祖母つる子さんから一家で呼び出された。いとこ家族も一緒に、つる子さんから提案されたのは「上を目指せば」高校の授業料を支援してくれるという話。わかばは部活と受験勉強の両立に苦労したけれど、成績が上がるにつれ「上を目指したい」と気持ちも上がる。一方で両親からのプレッシャーで嫌になることもある。いとこの樹(たつき)は成績優秀でトップクラスの学校を受験すると期待されていたけれど、意外な進路を選ぶ▽「女の子だから」頑張れとか正直キツイよね。わかばの成長と決意にエールを送りたい2023/12/14
ゆみねこ
85
99歳の曾祖母つる子さんから、ひ孫のわかばと樹に「奨学金」を出すという提案が。条件は今の実力より1つ上の学校を目指すこと。部活との両立、親からのプレッシャー、クラスメイトたちとの関係、重圧に押しつぶされそうになりながら努力するわかば。幼い頃からの夢に挑む樹。女子であるが故に学びの場が狭められた曾祖母や祖母の時代。今も残るジェンダーギャップ。YAジャンルの本ですが、親や祖父母の世代にも一読を勧めたい。わかばの決断、つる子さん譲り!2023/04/24
美紀ちゃん
83
中学生のわかばと樹。 いとこ。 曾祖母が、ワンランク上の高校に行くなら、奨学金を出してくれると言う。 今の実力よりひとつ上を目指すのは、大変。 親からのプレッシャーに負けそうになったり、部活でも頑張ったり、友情関係で悩んだり。 中学生の気持ちの波がたくさんあり、 課題図書になりそうな良書。 ラストは、「まさか!」と呟いてしまう。でも本人の意思が硬いならね!応援したくなる。2023/04/01
えんちゃん
78
曾祖母つる子さんは御歳99歳。高校受験生のひ孫ふたりに奨学金を提案。条件は今の実力よりも一つ上の学校を目指すこと!平凡な成績のわかばと、トップクラス秀才いとこの樹。ふたりの選んだ進路とは。大切なのは自分の頭で考えること。勉強・性差・学歴・将来について。児童書だけど、子育て中の親御さんやかつて受験生だった大人にもお勧め。まほらさんの小説は、実際の中学受験に使われることが多いみたい。納得。2023/04/24
はる
67
99歳の曾祖母つる子さんは、受験を控える二人の曾孫、わかばと樹に奨学金を出すと言い出した。ただし、ある条件を達成すれば……。厳しい受験勉強と部活の両立、母親や友人たちとの関係に悩むわかば。少女の揺れる想いが繊細な筆致で描かれます。曾祖母の時代よりましになったものの、相変わらず男尊女卑の価値観が根強く残るジェンダー問題を盛り込みつつ、児童文学らしい、爽やかで前向きな物語になっています。2023/04/10




