内容説明
世界史の各時代を成り立たせている根本的な要素や性質(=歴史の本質)を徹底的に読み解き、「世界史を再発見」する一冊。個々の歴史事象は単独で起きているわけではありません。歴史にはそれぞれの時代を方向づけている原動力となるものがあります。本書では、まず通史で世界史を俯瞰したあと、各時代の本質的な特色をあぶり出しながら、世界史の全体像をつかみつつ、歴史の「なぜ」を明らかにしていきます。さらに歴史の細部を丹念に読み解いていくことによって、より具体的に時代に通底する本質に触れることができ、歴史の理解が深まります。本書を読み進めるほど、耳にしたことのある断片的な世界史の知識が高次元でつながり、さらなる知的興奮を覚えることができるでしょう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ta_chanko
19
古代において都市国家が生まれ、それが複数統合されて領域国家へ、さらに中央集権的な官僚制を整備した世界帝国が誕生した。ヨーロッパ中世においては民族移動によって世界帝国が崩壊し、地方分権的な社会に。近世は大航海時代により世界の一体化が始まり、近代には産業革命により近代世界システムが成立。欧米列強が植民地を求めて世界を分割した帝国主義の時代へ。こうして時代区分を明確にすると、世界史が理解しやすい。2023/07/25
PONSKE
10
こんな世界史の授業があれば楽しいと思う。正直、第一部の通史は読むのがしんどいのたが、それ以降の布石として諦めないでほしい。第二部では「古代とは?」「中世とは?」のように、各時代区分の特徴を一問一答形式で説明していく。第三部では道路や馬、スイスなど、「そこ?」と思われる意外なキーワードが出来事に大きく関わっていると教えてくれる。学校の授業では第一部の通史で精一杯だろうが、こうした意外なトピックの方が案外記憶には残ったりするものかもしれないと思う。2024/12/24
うちだ
8
世界史の勉強中。すでに一冊、他の本を読み終わったのですが、基本的に何かを学ぶときは複数の著者の本を読んで知識を偏らせないようにしています。第一部で簡潔に世界史の流れが説明されているので、それだけで十分に世界史の骨子が掴めます。そして、第二部と第三部はさらに深く切り込んだ内容になっていて、まさに「本質」がつかめる内容になっているのではと思います。忘れないように、もう少ししたら読み直そうと思います。余談ですが、著者の方が年下であるという事実に軽くショックを受けました。2024/08/18
かわかみ
7
西欧だけ他の地域と異なる歴史的な経緯を辿ったという見方になる。古代の各文明圏では都市国家から始まって世界帝国が樹立されたが、分権的な中世を経て西欧が築いた近代世界システムに巻き込まれたという巨視的な歴史観が披露されている。これも一つの見方として首肯できるが、一般的な意味での中世を持っていたのは西欧だけではなく実は日本もであり、だから近代世界システムに呑み込まれなかったことに注意したい。世界帝国と道路、騎馬技術の東西の差異の余談は面白かった。2023/08/29
RX93
6
古代・中世・近世・近代、それぞれの時代区分を特徴づける枠組みを説明。古代は、都市国家→領域国家→世界帝国への流れ。中世は西欧特有、キリスト教と地方分権により「ヨーロッパ世界」が成立。近世は近代への過渡期。1500年頃の大航海時代を起点とする「世界の一体化」が一番の転機。工業化が進む「中核」と、農産物や原材料の供給に甘んじる「周辺」とに国際分業された「近代世界システム」の成立へ。産業革命、ナショナリズム、帝国主義がそれを加速。2023/03/26




