ちくま文庫<br> 箱の中のあなた ──山川方夫ショートショート集成

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ちくま文庫
箱の中のあなた ──山川方夫ショートショート集成

  • ISBN:9784480438539

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内容説明

昭和30年代に星新一と都筑道夫が牽引したショートショートブームに純文学畑から参戦し強烈な存在感を示した山川方夫。交通事故死という不運に見舞われ活動期間こそ短かったものの、その作品は今なお多くの読者を惹きつけてやまない輝きを放つ。この分野での著者の成果を一望できる日下三蔵編集によるオリジナル・コレクション全2巻。第1巻は代表作“親しい友人たち”ほか41編を収録。

目次

【PART I】親しい友人たち/待っている女/恐怖の正体/博士の目/赤い手帖/蒐集/ジャンの新盆/夏の葬列/はやい秋/非情な男/菊/メリイ・クリスマス/愛の終り/十三年/お守り/ロンリー・マン/箱の中のあなた/予感/暑くない夏/トンボの死/社内旅行/カナリヤと少女/新年の挨拶/昼の花火/【PART II】三つの声/猫の死と/朝のヨット/あるドライブ/偶然に乾杯!/夫婦の仲/三つの声/「別れ」が愉し/もっとも安楽な椅子/〝S・M・A〟の秘密/未来の中での過去/頭の大きな学生/昭和の雛人形/僧侶の夢/ある幸福/ゲバチの花/蛇の殻/クレヴァ・ハンスの錯誤/遅れて坐った椅子/【PART III】座談会 ショート・ショートのすべて/ショート・ショートのすべて/〝その本質とは?〟 山川方夫 星新一 都筑道夫/抑制がきいた余韻 星新一/編者解説 日下三蔵

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ehirano1

81
「恐怖の正体」について。3つの「恐怖」が語られたと思いました。1つは断続的な猟奇的嫌がらせをヒトができる、という恐怖。もう1つは、このような猟奇的嫌がらせでヒトは容易に狂うという恐怖。そしてその恐怖の正体はヒトの中に内在されているという恐怖。2025/02/25

アナーキー靴下

62
2022年にこんな本が出ていたとは知らなかった。既読作品が多いのが残念ではあるが嬉しい。個人的には創元推理文庫の『親しい友人たち』の方が好きだけど、本書の方が収録数は多い。巻末に収録されている山川方夫、星新一、都筑道夫の座談会(1961年)は面白かった。ところで改めて読むと著者の作品はフランス文学の香りがする気がする(いやそんなにフランス文学読んでないけど…でも著者はフランス文学科だったようだし外してないはず…)。理知的な精神に曖昧さを抱えたままの情動、他者と接して初めて何かが生まれる点が。孤独さえもだ。2024/06/11

Shun

38
優れた作品をいくつも遺し、悲運にも早逝した純文学の書き手である山川方夫(やまかわまさお)による作品集です。主にショートショートの分野において第一人者の星新一や都築道夫と並び多くの作品を書いた著者ですが、この度初めて知ることとなりました。ショートショートという最も短いタイプの小説ではより書き手の個性が感じられるようだ。星新一作品とは違った持ち味が特徴で、どちらかと言えば文章が純文学寄りで短い話でも味わい深さは絶妙。読めば文章の中に深く入り込みつつ、終わりは早く線香花火のように余韻は儚い。第2巻も楽しみです。2023/02/10

tonpie

37
星新一らとともに昭和30年代に「ショートショート」ジャンルを開拓した一人で、芥川賞・直木賞候補にノミネートされていたが35歳で交通事故死。生前出版のショートショート集には江藤淳の熱い推薦文があった。 初読みだが、知的でお洒落で繊細な短編でした。最近のホラー系作品のギトギト、グジュグジュの刺激に疲れた時に読むと、非常に良いです。SF的な場合もミステリー的になる場合もあるが、「奇談」というくくりのほうがすっきりすると思う。シャイな気質が吉行淳之介を思わせる。↓2024/01/23

まめこ

25
★★★★☆やっぱり印象深いのは「夏の葬礼」。遠いあの夏の記憶を封印するため10数年ぶりに訪れた疎開先で目にしたのはあの人の葬列。過去からの開放と同時に未来を閉ざす残酷な突き落としが見事です。「蒐集」気品と気力溢れる…ただの壺(笑)?「未来の中での過去」四季がない時代がくる?墓場の中まで持ってゆきたい後悔や感情のうねり、優しい(ダークな?)嘘が溢れるショートショート41編。2023/07/28

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