内容説明
原稿枚数1400枚に及ぶ渾身の大著が遂に文庫化!文学、メディア、芸能等の歴史を横断する、橋本治にしか書けないアクロバティックなチャンバラ映画論にして、優れた近代日本大衆史。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mc6ρ助
16
『悪人を退治するのは正義の主役だけれども、そのヒーローの為に馳せ参じて来る人間はゴマンといる――それが戦後の民主主義でした。戦後の民主主義というのはそういうものだったんだと、私なんかは今でも思っています。(p471)』世の中に頭のよい人はいるんだと素直に感心せざるをえない、個々の文章は追えてもその論旨を理解できない爺さまはただただ口をぽかんとあけるしかない。この豊穣なものを生みだした日本はどこへ行ったのだろう?橋本治さんが見た戦後民主主義はすでに遠い(ほんの40年足らずの前にしか過ぎぬにも関わらず)。2023/06/16
hasegawa noboru
15
<十年一日の勧善懲悪ーーすべてが”正義は勝って晴れやかに笑う”というパターンで貫かれていた><全盛期の東のチャンバラ映画>を代表する監督の一人<沢島忠の魅力は一言、走ることでした。走る、走る、みんなが走る(6字傍点)>。中村錦之助主演の一心太助は魚河岸を走り回り、錦之助、賀津雄主演の『殿さま弥次喜多』も走り回った。小学生の頃見たそれらの映画のシーンの記憶がかすかに蘇ってうれしかった。後者は<昭和三十六年、イタリアの世界喜劇映画祭で作品賞と監督賞をとった>というのは初耳だった。<悪人を退治するのは正義の主役2023/02/26
恋愛爆弾
14
「“人を裁く正義”なんていうのは二流の正義だ。ホントの正義は人を自由にする」(「あとがき」)という、意味のないキャンセルカルチャーに熱を上げる左翼のバカどもに聞かせてやりたい名文句に、話は尽きるのだが、しかし後半はいつもの橋本治の通りかなりダレており、前巻ほどの衝撃はない(嵐寛寿郎論はやはり衝撃的だが)。ただ、これから世界をもう一度「生きて行く」ために、さしあたりこのことさえ覚えていればいい、すなわち、「笑顔のない正義は嘘だし、正義のない笑顔はいやだ。正義がなければ笑顔は立たない──もうこれだけ」。2024/10/03
amanon
7
恐らくビデオソフトも今ほど潤沢でなかったはずの時代に、ごく限られた資料を基にして、ここまで膨大かつ詳細なチャンバラ時代劇論を開陳した。しかも、本人は決してチャンバラ映画ファンではないというから、最早口あんぐり…状態(苦笑)。何せその殆どが見たことはおろか、題名さえ聞いたことのない映画の話が延々と続くのだから、正直退屈に思えた記述もないわけではないが、やはりそこは著者独特の語り口でぐいぐい引き込まれてしまう。個人的にとりわけ印象的…というか、ぶっとんだのは立川文庫の成立秘話。改訂版を望めないのが悲しい。2024/07/22
justdon'taskmewhatitwas
7
前半分読了後「予言書のようだ」と感じたものの、「いや、これは自分がUpDateされてないだけでは?」と考え直す。何しろ40年近く前(バブル以前の昭和)に書かれた文章なんだし、いつまで俺はアオハルSONGを聴き、アオハル文学を読ま(され)なきゃいけないのか。モダンである為に"捨ててきた"ものを踏まえて、ポストモダンの先へ行かなきゃ、…いけないのに・・・?2023/03/04
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