内容説明
激動する世界の資源エネルギーを俯瞰する「絶好の入門書」
世界を翻弄する資源大国ロシア、脱ロシアに急ぐ欧州、シェール革命のアメリカ、
中国のエネルギー戦略、地球温暖化・再エネ対応……
この1冊で、世界の全体像を理解できる最高の教科書。
早稲田大学で話題の講義を書籍化!
目次
はじめに
序 章 激動する世界の資源エネルギーを俯瞰する
第1章 エネルギー戦略の基本的視座
第2章 ロシア:エネルギーを武器に世界を翻弄する超資源大国
第3章 ドイツ:脱ロシアで揺らぐ再エネ先進国のエネルギー戦略
第4章 アメリカ:シェール革命による自給達成と大統領ごとに変わるエネルギー外交
第5章 中国:ロシアと連携を深めつつ、再エネ産業で世界を席巻する世界最大の消費国
第6章 EU(ヨーロッパ):地球温暖化対策と脱ロシアに対峙するEUの原発と天然ガス
第7章 インド:世界1 位の人口と経済成長を支えるエネルギー確保が課題
第8章 東南アジア、オーストラリア、ブラジル:日本のエネルギー安全保障を支えるパートナー
第9章 中東:自立を強めロシア・中国と結びつく世界最大の油田地帯
第10章 日本:隣国の脅威の中で求められる安全保障と産業競争力を強化するエネルギー戦略
終 章 GX、再エネの推進は、国防への貢献
おわりに
用語一覧
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
90
早稲田大学一般教養科目「世界各国のエネルギー戦略」教科書?。著者は旧通産省入省、資源エネルギー庁石油部開発課長等を歴任後、㈶日本サッカー協会に転職、同専務理事。2007年より早大に資源エネルギー関連の講義を開設。13-21年、内閣官房参与として資源戦略を担当。と少々変わった経歴。国際政治に密接に関わる資源エネルギー問題。この分野で各国の状況を網羅する書籍はあまり見かけなかったので、世界全体の理解に大変役立つ。章建てはロシア、ドイツ、アメリカ、中国、EU,インド、東南アジア・豪州・ブラジル、中東、日本。⇒2023/06/21
奈良 楓
21
【良かった】2023年5月刊。 ● ウクライナ戦争中下の各国のエネルギー戦略が大つかみできる本。 ● 著者は旧通産省入省の方で、その経歴のためか?マクロ的な内容に思います。 ● 最終章の、「エネルギー戦略は政府や企業ではなく読者一人一人の関係するもの」、という事が著者のこの本にかける思いなのでしょう。 ● ブラジルのエネルギー戦略が適切な手を打っている、など思わぬ知見がありました。2023/06/12
Taizo
9
エネルギー戦略の概要を抑えたのちに、各国の戦略を攫っていくことで、理論的枠組みと具体的なケースが同時に頭に入る優れた入門書。スケールの大きさとダイナミクスが面白いのでどんどん先を読んでしまう。エネルギー戦略は3つのEが重要「環境」「経済」「安全保障」。この3つは本来バランシングしながら進めていきたいが、世界情勢によって大幅に変化する。現在はロシア情勢の不安から「安全保障」が最も重視されている。エネルギー観点から眺めると、ロシアがいかに大国であるかわかる。社会人必読の書だと思う。2024/08/15
conegi
9
出版年が新しいだけあって、現在のエネルギー事情の概略を見通すのにとても良かった。最近のトレンドはやはり脱ロシアと再生可能エネルギー。ウクライナ問題は日本の影響も大きかったが、EUはその比ではない。ドイツは福島の影響も大きく、脱原発を進める。中国は生産も消費も超大国で、環境軽視のイメージはあるが、再生可能エネルギーには積極的。今後のCO2問題はインドの影響が相対的に大きくなりそう。日本での再生可能エネルギーは、意外にも風力が有力とか。不安定性は蓄電池で補えると。賞味期限が短い本だとは思うが、一読の価値あり。2023/09/16
お抹茶
7
主要国のエネルギー戦略の概要を記す。日本は必ずしも友好的でない周辺国に囲まれているという地政学的位置に存在し,エネルギーの自給ができていないという事実をしっかりと考えていく必要がある。エネルギーの世界が非常に残酷で,紛争があるとエネルギー価格が上がり,経済制裁がエネルギー価格を上昇させる。ウクライナ侵攻を経ても脱ロシアをしない/できない国がある事情もわかる。現在の国際的なエネルギー事情を網羅的に把握するのによい。2023/06/16