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内容説明
殺しあいをしてきた人々は、どのように仲直りをするのか。闘いを通じて増殖され蓄積された憎しみ、悲しみ、怒り、憤りを当事者たちはどう処理するのか。和解を促すうえで、第三者のどのような手助けが効果的なのか。カンボジア、東ティモール、インドネシア、アフガニスタン、スリランカ、フィリピン、キプロス、ボスニアなど世界各地の紛争地で、現地の平和に貢献する活動や研究を行ってきた国際紛争研究者が、紛争の現場で見て、感じ、考えたことをもとに和解の物語を綴ってゆく。
目次
はじめに──見て、感じ、考える旅/本書から何が得られるか/内戦後の和解の旅/川下りの旅/コラム1 蚊との戦い/第一章 カンボジア──和解の旅の起点/1 和解の背景/内戦の概要/和平プロセス/権威主義的体制の確立/特別法廷/移行期の正義/2 和解の旅/旅の始まり/国際選挙監視活動/権力に抗う覚悟/除隊兵士支援/足を失った元兵士/ポルポト派から逃れた難民/コラム2 現地の生活の知恵/3 和解の景色/正義を追求する道/誰と和解すればいいのか/過ちをどう伝えればよいか/紛争地を歩く知恵1安易に土産を手渡すな/第二章 南アフリカ──和解を考える旅/1 和解の背景/アパルトヘイトの概要/和平プロセス/構造的暴力としてのアパルトヘイト/真実・和解委員会/2 和解の旅/和解の成功例の実態/黒人居住区「タウンシップ」/心のなかの見えない壁/コラム3 南アフリカのワインと郷土料理/3 和解の景色/政治的妥協の産物/異なるスタートライン/差別を語る言語の束縛/紛争地を歩く知恵2ヨハネスブルグではUberタクシーを使え/第三章 インドネシア──民主化という名の和解/1 和解の背景/スハルト開発独裁/独裁から民主化へ/独裁後の正義の追求/コラム4 苗字のない名前/2 和解の旅/独裁末期の教育現場/父の仇との和解/独裁者スハルトの功罪/人質解放交渉/コラム5 テロリストとの交流/3 和解の景色/民主化という名の和解の回避術/うやむやにされた軍部の責任/紛争地を歩く知恵3リスク管理を徹底せよ/第四章 アチェ──和解に優先する復興/1 和解の背景/内戦の概要/イスラム法(シャリア)/日本の対アチェ外交/スマトラ島沖大地震と和平気運の高まり/インドネシア政府の目論見/ヘルシンキ和平合意秘話/仲裁者の立ち位置/コラム6 フィンランド流サウナの入り方/2 和解の旅/イルワンディとの密会/なぜ独立を諦めたのか/末端のゲリラ兵/体制派の人々の声/裏切り者/3 和解の景色/既得権益の再分配/政治的和解を促した選挙制度/和解の理想形/少数派のなかの少数派/紛争地を歩く知恵4入国ルートの手間を惜しむな/第五章 東ティモール──和解の二局面/1 和解の背景/東ティモール略史/インドネシアの軍事侵攻と抵抗運動/一九九九年の住民投票/和解の二局面/国連の平和構築支援/インドネシアとの和解/受容・真実・和解委員会/二〇〇六年の政治・治安危機/2 和解の旅/重大犯罪に対する特別法廷/受容・真実・和解委員会の公聴会/コミュニティ内の和解/コラム7 国連警察官が遭遇した危機/3 和解の景色/社会に潜む根深い対立構造/対立を助長した言語政策/政治と治安部門改革/政治主導の和解と金による解決/紛争地を歩く知恵5現地に到着したら高台から俯瞰せよ/第六章 スリランカ──多数派勝利後の和解/1 和解の背景/内戦の概要/多数派シンハラの驕りと恐れ/和平仲介の失敗/和解の地政学/2 和解の旅/日本の仲介努力の特徴/和解を阻む要因/タミル・エリートの本音/内戦の犠牲者たちの声/敗者となったタミルの虎たち/タミルの虎の元幹部の証言/コラム8 コロンボの市場で/3 和解の景色/スリランカ式解決法/炭鉱のカナリア/紛争地を歩く知恵6テロリストと闘うな交渉せよ/第七章 ボスニア・ヘルツェゴビナ──民族という火種は消せるのか/1 和解の背景/多民族国家ユーゴスラビア連邦/内戦の概要/スレブレニツァの虐殺/デイトン和平プロセス/旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷/2 和解の旅/サラエボを目指す車旅/戦時下のザグレブ/念願のサラエボ入り/橋は再建されても民族の壁は高い/コラム9 平和のためのジャーナリズム/3 和解の景色/分断による平和/平和強制の後の和解の課題/殺しあった隣人同士の和解/戦争の記憶を残すことは和解を妨げないのか/紛争地を歩く知恵7安易にパスポートを手渡すな/第八章 キプロス──分断から和解は生まれるか/1 和解の背景/キプロス略史/内戦の概要/国連キプロス平和維持隊/2 和解の旅/緩衝地帯を往来する/南北「国境」を越える/解決よりも現状維持/民主制の難しさ/南北共存に向けた取り組み/両民族が共有する文化遺産/コラム10 退役軍人宅にホームステイ/3 和解の景色/別れて住むということ/紛争地を歩く知恵8土産物の売子には注意せよ/第九章 ミャンマー──軍事政権との和解/1 和解の背景/内戦の概要/多民族国家の難題/ロヒンギャ/民主化の兆しとクーデター/2 和解の旅/アジア最後のフロンティア/束の間の平和/仏教門徒ネットワークとZ世代/なぜロヒンギャは差別されるのか/人道支援原則/コラム11 居酒屋にて/3 和解の景色/軍事政権と民主化勢力の和解/和解を妨げたもの/鍵を握る政治的和解/紛争地を歩く知恵9許可されている境界ギリギリを目指せ/終章 現場で考える和解への道/1 見聞録を振り返る/カンボジアの和解/南アフリカの和解/インドネシアの和解/アチェの和解/東ティモールの和解/スリランカの和解/ボスニア・ヘルツェゴビナの和解/キプロスの和解/ミャンマーの和解/2 和解を阻む障壁/紛争の要因としての権力闘争/和解を阻んだ強硬姿勢/民族や宗教の違いは和解を妨げるのか/和平のための理論/軍の文民統制を確立する/3 和解の処方箋/和解への道筋/権力闘争の穏健化と民衆の不満解消/和解の第一歩/民主主義は和解を促すのか/国際社会の役割/日本の取り組み/4 和解の旅の終わりに/過去からの解放/和解の終着駅/あとがき/参考文献
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