内容説明
「30ページをループするんだ。悲劇を変えるまで何度も!」
ペンギンの着ぐるみをまとった少女・時湖が俺に告げたのは悲劇を巻き起こす〈怪物〉との戦い、熾烈な“シナリオバトル”の始まりだった。
八月七日、名古屋。夏祭り会場で銃撃事件が発生し、行方不明の初恋相手とおぼしき少女が撃ち殺された悲劇をきっかけに、俺は再び八月七日の朝に目覚めていた。“30ページ分しか行動できない”という制約、そして次々と浮かび上がる事件にまつわる謎。ループの中では無数の困難が俺たちを待ち構える。俺と時湖は協力して〈怪物〉に立ち向かうことにするが、着ぐるみを脱いだ彼女の素顔はまさかの…… 。
30ページで悲劇を書き換えられるか。今、運命の二人が試練に挑む。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
35
幼い頃助けてくれた女の子を探し続ける少年・志道計助。ペンギンの着ぐるみをまとった少女・時湖と出会い、悲劇を巻き起こす〈怪物〉の凶行を止めるべくループして試行錯誤する青春ファンタジー。抜け出すには30ページ分しか行動できない制約の中で、夏祭り会場の銃撃事件を止めること。駆け引きと奔走の試行錯誤を繰り返し、次々と浮かび上がる事件の謎、明らかになってゆく用意周到な怪物と数々の困難。時湖が抱える秘密も明らかにしながら、孤軍奮闘でも彼女を犠牲にするのでもなく、持ち札を使い切って乗り越えた結末はなかなか良かったです。2023/04/09
オセロ
31
名前も知らない初恋の少女を長年探し続けていた苦学生の計助が再会したのは射殺された少女の死体だった。そんな現実に絶望する計助が気がつくと少女が死んだ日の朝に戻っていて、そこで初恋の少女にそっくりな時湖から世界がループする仕組みを知らされた計助は運命を変えることが出来るのか? 30ページのループを繰り返すことで真実に近づいていくドキドキ感、ところどころにあった違和感が氷塊していく構成は読み応えがありました。そして計助と時湖の過去を絡めながら2人のこれからを予感させる結末はグッときましたね。2023/04/07
TERU
16
ーーこの世界は30ページでループする。 限られた時間の中で悲劇の元凶を食い止めるため、俺は何度もこの世界を繰り返す。 本作はタイムリープ系の作品なのですが、システムが凄く斬新で面白いです。 タイトルに『30ページでループする』とある通り、主人公がタイムリープする条件は、作中に登場する謎の装置「マキナボード」に記された物語が30ページに到達する事。逐一主人公の起こしたアクションや会話などが物語として綴られていくため、一般的な主人公が〇ぬとタイムリープする作品と違い、2023/04/28
彩葉 楓🍁
15
【★★★★☆】何年も探し続け、やっとの思いで見つけた初恋の人は目の前で……最悪な運命に抗うため、突如起こった謎のタイムループ現象を駆使して、誰もが幸せになる。そんな理想的なハッピーエンドを掴む物語。機械造形に刻まれる記述は実際に書体に刻まれた30ページ内の文章であり物語の文章が連動している設定はとても新鮮でしたね。嘘とハッタリと演技で敵を欺き、しかしそう運命は覆すことが出来ないという無慈悲な現実に悲壮感を抱き、最終的には若干のもやもやは残ったものの良い理想的な結末でした。恋愛要素は少ないかな。よい物語。2023/07/15
真白優樹
15
学生と調査事務所の職員を並行しながら初恋の少女を探す青年が少女の死によりループに巻き込まれ始まる物語。―――何度も繰り返したどり着け、完全無欠の結末へ。 30頁という少ない部分でループしながら湧き上がる多数の謎に立ち向かう物語であり、解き明かす中で判明する思いを受け止め、未来を目指す、迸るような思いが見所である物語である。悲劇を押し付けられ終わりを突き付けられ。それでも最後に一度だけ相棒に賭け、全てを救うべく打った最後の一手。その結果がどうなったのか。それは是非皆様の目で。 うん、とても面白かった。2023/04/08