新版 分裂病と人類

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新版 分裂病と人類

  • 著者名:中井久夫【著】
  • 価格 ¥3,080(本体¥2,800)
  • 東京大学出版会(2023/03発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
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  • ISBN:9784130065146

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内容説明

精神の病を人類史・文化史に位置付けた記念碑的名著
統合失調症の概念の起源を、人類の文化史にさかのぼる。精神の病を文化・歴史的な深みで考究する著者一連の著作の原点。全新組。


【主要目次】
第1章 分裂病と人類――予感、不安、願望思考

1 “先取り”的な構え
2 狩猟民的な認知特性
3 農耕社会の強迫症親和性
4 近代と分裂病親和者
5 人類学的な有利さ

第2章 執着気質の歴史的背景――再建の倫理としての勤勉と工夫
1 “甘え”の断念
2 再建の仕法家――二宮尊徳
3 立て直しと世直し
4 世俗倫理の盲点
付 自己抑制の倫理――武士階級

第3章 西欧精神医学背景史

1 古代ギリシア
2 ギリシア治療文化の変貌
3 ヘレニズムに向かって
4 ローマ世界とその滅亡
5 中世ヨーロッパの成立と展開
6 魔女狩りという現象
7 魔女狩りの終息と近代医学の成立――オランダという現象
8 ピネルという現象――一つの十字路
9 ヨーロッパ意識の分利的下熱
10 ピューリタニズムと近代臨床
11 フランス革命と公式市民医学の成立
12 啓蒙君主制下の近代臨床建設
13 新大陸の“近代”
14 大学中心の西欧公式精神医学
15 力動精神医学とその反響
16 二十世紀における変化
17 西欧“大国”の精神医学
18 西欧“小国”の精神医学
19 ロシアという現象
20 “向精神薬時代”と巨大科学の出現
21 神なき時代の西欧精神医学
22 ヨーロッパという現象
おわりに――“神なき時代”か?

あとがき
新装版あとがき

中井久夫(なかい・ひさお)
1934年奈良県に生れる。1959年京都大学医学部医学科卒業。1980年神戸大学医学部精神神経科教授。1995年兵庫県こころのケアセンター長。1997年甲南大学文学部臨床心理学教授。
主要著訳書に『精神科治療の覚書』(日本評論社、1982)、『中井久夫著作集 精神医学の経験』全3巻 別巻 1(岩崎学術出版社、1984-85)、『家族の深淵』(みすず書房、1995)、『1995年1月 神戸』(共著、みすず書房、1995)、『昨日のごとく』(共著、みすず書房、1996)、『最終講義―分裂病私見』(みすず書房、1998)、『西欧精神医学背景史』(みすず書房、1999)、『治療文化論』(岩波現代文庫、2001)、『徴候 記憶 外傷』(みすず書房、2004)、『時のしずく』(みすず書房、2005)、ヴァレリー『若きパルク/魅惑』(みすず書房、1995、2003)、ハーマン『心的外傷と回復』(改訂版、みすず書房、1999)、『サリヴァンの精神科セミナー』(みすず書房、2006)などがある。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ベイス

61
「100分で名著」で中井久夫に初めて触れ、興味をもち購読。入門に最適、と番組で紹介されていたが、氏の思考の「飛躍」に幾度も面食らう事態に・・・それでも世界史を「分裂病」との関係で読み直すという大胆な試みは新鮮で(もう40年も前に書かれた本だけど!)刺激的だった。世界は進化すればするほど「うつ病を発症しやすい」執着気質型社会へと突き進んでいるが、このことと分裂病(いまでいう統合失調症)予備軍たる「S親和者」との関係がどうしても分からなかった。章ごとの関連をもう少し明確に「編集」してほしい・・・2023/01/02

燃えつきた棒

36
NHK「100分de名著」の「中井久夫スペシャル」で紹介されていた本。これは面白い!ページを繰る度に心に残る言葉に出会う。 本を同時に何冊も並行して読んでしまう悪癖のある僕(ちなみに現在、読みかけ本が39冊。)も、これだけ面白けりゃ集中して読むことができる。/ 【青年期に一過性に分裂病状態を経験した人の数は予想以上に多数ではあるまいか。】 ここではヴィトゲンシュタインらを挙げているが、たしか、番組では斎藤環が中井先生自身も若い頃に同じような状態に陥ったことがあると指摘していたように思う。/2023/06/27

しゅん

12
分裂症と人類史の関わりが中心かと思ったら、3章の精神医学背景史に多くが割かれてた。面白かったのは2章の粘着気質と鬱の歴史的背景。日本人の職業気質は「立て直す」ことに向かっており、新しいものを作るタイプではない。悔やみ、後悔の強さが執着になり、そこから禁欲と工夫の教えが出るが、工夫が空転すると鬱に変わる。日本におけるパラノイアな倫理観を二宮尊徳の考察から浮かび上がらせる。2021/11/17

OjohmbonX

9
分裂気質の特徴を電気回路の微分回路と対比し、執着気質が日本社会で倫理的とされていく起源を二宮尊徳の生涯から描き出し、西欧の精神医学が主流に見えて異端であることを魔女狩りといった現象の分析を交えて明らかにする。何をどうしたらこんな縦横無尽に書けるんだと思いながら読んでたら、後書きで「これらの著作や論文から課題や疑問を得てこういう探求の方向になった」と種明かしされるけど、高度なマジックはいっそ「魔法です。」とでも言われた方がまだ納得できるみたいな気持ちになる。2018/01/21

toiwata

6
これもまたページ数が圧縮された歴史書。第三章 西欧精神医学背景史の底本はみすずライブラリーの同名の書籍と同じなので、この章については実質、再読。「つけ加えるべきものはあっても、消去すべきところはない」p.255 自著を読み返して過誤は無いと言い切る重さ。2016/02/10

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