サーカスの子

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サーカスの子

  • 著者名:稲泉連【著】
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 特価 ¥990(本体¥900)
  • 講談社(2023/03発売)
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  • ISBN:9784065309667

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内容説明

大天幕の中に入ると、そこは夢の世界だった。--
舞台の上で繰り広げられる華やかなショー、旅を日常として生きる芸人たち。子供時代をサーカスで過ごした著者が、失われた〈サーカスの時代〉を描く、私的ノンフィクション。

あの場所は、どこへ行ったのか?
僕がそのときいた「サーカス」という一つの共同体は、華やかな芸と人々の色濃い生活が同居する場所、いわば夢と現が混ざり合ったあわいのある場所だった。(本文より)
幼いころ母とともにキグレサーカスで暮らした著者は、四十年近い歳月を経て、当時の芸人たちの物語を聞きにいく。
それは、かつて日本にあった貴重な場所の記録であり、今は失われた「故郷」と出会い直していくような経験だった。
気鋭のノンフィクション作家による注目作。

目次

・プロローグ ひとかけらの記憶の断片から1
第一章 終わらない祭りの中で
・ひとかけらの記憶の断片から2
第二章 サーカス芸人、女三代
・ひとかけらの記憶の断片から3
第三章 サーカスの男たち
・ひとかけらの記憶の断片から4
第四章 二人の道化師
終章 最後のサーカスの子
・エピローグ ひとかけらの記憶の断片から5

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

146
2人だけの母子家庭だった少年は、突然テント村で全国を旅する生活に投げ込まれた。炊事係として働く母と共に華やかなパフォーマンスの隣で過ごしたサーカス暮らしは、ほんの1年だが就学前の子供にとって遥か遠い彼方の強烈な印象を残した故郷に等しい。その故郷も20年以上前に廃業し、文字通り幻の存在になってしまった。かつての団員とその家族から当時の生活と解散後を聞き取る作業は、消え去った故郷を再構築する第二の旅路だった。全員が幸福ではなかったが、サーカス時代を懐かしく思い出す姿は、それぞれの心に故郷が生きている証なのだ。2023/10/15

trazom

121
稲泉連さんが、子供の頃、母と一緒にサーカスにいたことを初めて知る。思い出を辿り、当時の人たちを訪ねる。「あの、れんれん(連君)か」と迎える人たちの優しさが溢れている。「サーカスにいたことを人に言っちゃだめよ」と言われて育った人たちにとって、一緒の時間を共有した連君ならばと、正直な思いが言葉となって語られる。家族的な共同体の温かさ、転校生活の寂しさ、事故で亡くなる悲劇…。キグレサーカスの舞台の最後は、さだまさしさんの「道化師のソネット」だとか。そのメロディーを思い浮かべながら読むと、何度も目頭が熱くなる。2023/07/10

R

63
わずか一年だが、サーカスの子として育った著者が、そのルーツを辿るように当時の人たちを訪ねていくドキュメンタリ。サーカスに馴染みがないので、そういう世界なんだと新鮮な驚きが多かったけども、いわゆる村社会とは異なる共同体としての集団が興味深かった。血のつながりのない家族といっても差し支えのない不思議な絆で結ばれているように見えて、サーカスから離れての苦難も偲ばれるが、年月を経て再会した際の感情が郷愁と呼ぶそれ以上のものに見えてよかった。昭和という切り口とは異なる、ノスタルジーを感じる本だった。2023/09/07

TATA

53
子供の頃にサーカスで数年を過ごした筆者。学校を幾度となく転校するような特殊な生活事情。その中でサーカスという温かい共同体で過ごしたことはきっと筆者の心に奥底にいつまでも美しい思い出として残る。その時のお兄さん、お姉さんのサーカス後の生活は生々しいものなのだが、それよりも筆者の郷愁が上回る。一人称が一貫して「僕」なのもあの頃の子供目線なのだなあと。特殊な生活環境のドキュメンタリーというよりは、抒情的な思い出回想記という一冊でした。2023/07/29

kawa

42
幼少の頃、今はなきキグレサーカスで母子2人1年間働き暮らした経験のある著者が、当時の団の知り合いたちを訪ね、サーカス団生活の一コマをルポルタージュする。当時の生活や環境は、ある意味一般世間から隔離されている閉鎖社会ゆえに、馴染めば居心地の良い思い出として残っているのだと言う。それだけに、サーカスと縁が無くなった現在の皆さんの生活が心配でもある。自分と全く縁のない世界の人の人生を疑似体験。これも読書の愉悦だ。2023/06/21

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