再読だけが創造的な読書術である

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再読だけが創造的な読書術である

  • 著者名:永田希【著者】
  • 価格 ¥1,870(本体¥1,700)
  • 筑摩書房(2023/03発売)
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  • ISBN:9784480816825

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内容説明

読書猿氏推薦! 忙しさや生産性、新しさという強い刺激に駆り立てられる現代において、自分の生きる時間を取り戻すための方法論として素朴な多読ではなく、本書では「再読」を提唱する。読書するうえで直面する「わからなさという困難」を洗練させ、既知と未知のネットワークを創造的に発展させる知的技術としての「再読」へと導く。「自分ならではの時間」を生きる読書論。

目次

はじめに/第一章 再読で「自分の時間」を生きる/「自分の時間」が買いたたかれている/「独学」志向の現代/時間貯蓄銀行の灰色の男たち/「自分の時間」を生きることは自分と向き合うこと/「情報の濁流」が押し寄せる現代/あなたにとって「良い本との出会い」とは何か/一冊でも多くの本に出会うということ/自分を見つめ直す/多くの本を「読み捨てる」ことは避けられない/再読はセルフケアである/「現状維持バイアス」に抗う難しさ/バンドワゴンと自分との対/第二章 本を読むことは困難である/読書スランプに陥るとき/「言葉の解きほぐし」という行為/書物と権威/読書のためらい/本を開く困難、読み終える困難、孤独になる困難/ひとは本を完全に読むことができない/ためらいを繰り返す/より複雑な「わからなさ」の深み/単純な困難と複雑な困難/「わからなくなること」の深みへ/「語るべき人々」/読書に慣れるということ/第三章 ネットワークとテラフォーミング/バーンアウトする現代人/「強さ 激しさ」と「燃え尽き」/初体験信仰/フラットな読書/ネットワークとしての人間・言葉・書物/スモールワールド効果/『侍女の物語』のネットワーク/「わからなさ」をわかるということ/「わからなさ」の裏に潜ませた何か/ビオトープからテラフォーミングへ/ネットワークの奥へ進み、自分のネットワークをつくる/テラフォーミングとは何か/不毛の惑星を住みやすいものに作り替える/ただそこにあるものを組み合わせていく/第四章 再読だけが創造的な読書術である/読書の創造性と不可能性/創造性とは「組み合わせ」である/「未知のジャンル」に挑むときにこそ再読を/「急がば回れ」の正体/「それがあるかもしれない」と期待すること/古典を再読する/古典とはどういうものか/古典と見なされるにいたった背景/それまで知らなかった「つながり」/ベストセラーを再読する/自分だけの「文脈」を加える/ベストセラー同士のネットワーク/批判的な読みも可能/唯一のルーツはない。あるのは無数のルートだけ/第五章 創造的になることは孤独になることである/「読むこと」と「読み直すこと」には違いがない/カルヴィーノ『なぜ古典を読むのか』/他人の通った道を辿り直す/読むことの二重性/古典を読むときは「解説」は読まない方がいい?/虚構のネットワーク、ネットワークの虚構/魔法としての文学/『ナボコフの文学講義』──まるでほんとうのことのように語る/書物を読むことはできない、ただ再読することができる/『アーダ』──つねに欺く/虚構世界の側から現実世界を夢想する/人生の旅路の疑似体験/松岡正剛「千夜千冊」『多読術』──再読における「開き」と「溝」/シャノンのネットワーク/コミュニケーションと「編集」/情報は容易に壊れるからこそ武器へと変わる/少数派のなかの多数派と少数派/斎藤美奈子『趣味は読書。』──少数派としての読書家/善良な読者と邪悪な読者/ベストセラーを批判的に読む──少数派のなかの少数派のなかの少数派/『挑発する少女小説』──少数派のなかの多数派のなかの少数派/自分が生きていくための環境を再構築する/不確かなネットワークのうえで/孤独を深めることで、孤独ではなくなるという逆説/おわりに/参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

124
前著「積読こそが完全な読書術である」とは、ひとは本を完全に読むことができないということを、書物の側に視点を置いて考えてみた結論であった。本書は、読書を読者のネットワークに組み込むことという観点から、初読と再読の間の読者の過ごした時間のズレを眺めることを可能にするとしている。再読によってフラットな思考からメタ認知を行うことを薦めている。情報の濁流に翻弄される現代において、古典を読む体験はゆったりと流れる川を眺めるようなもの。古典もまたさまざまに読まれてきたものを読者が読むという、再読の現象となるのである。2023/04/29

tamami

73
著者は、セネカやショーペンハウアーを始めとする幾多の先達の読書に関わる金言を示しては、情報の濁流に流されないための自分を深める読書術=再読について提案する。著者はその際意識したいのは「フラットに読む」ことだという。日々の生活の中で「強さ=激しさ」に駆り立てられ、極私的な読書体験でさえ他に公開することを余儀なくされている私達に、フラットな読書=再読は、自身の読書ネットワークを整備することに繋がり、新たな創造を産み出すと説く。古典的名作の新たな読みの可能性を示すなど、読書の幅を広げてくれること請け合いである。2023/03/26

金城 雅大(きんじょう まさひろ)

30
<抜粋メモ> 絵画鑑賞と読書の比較による、タイムラグとノイズの発生可能性/書物の側にとっての「再読(再び読まれる)」を意識する <読みながら考えていたこと> ・昔空想したことのある「書物のインストールチップ」の無意味さ ・内面世界を陶冶涵養し得るアイコンとしての「読書好き」「映画好き」 ・塩谷舞さんに教えられた「書評家→作家」の一方通行性 ・「リアクションやフィードバックがないもの=存在しないもの」と捉え、「リアクションを求めて書評を書く」営みとしての読書会主催2023/08/26

vy na

24
図書館本。同じ本を理解するには7回読む必要があるとどこかで。確かに再読すると同じ箇所ではなく、初読とは違う箇所で引っかかったり、同じ分でも新たな視点に気づいたりします。本書で、書いてあることはよく理解できませんでしたが、面白いと思った本は必ず再読しようと思えるきっかけをくれたと思います。2023/07/11

チャー

20
再読の効果や影響等を解説した本。一度読んだ後に時間をおいて再び目を通すことで、書物の内容をよりよく理解し深く味わうことができるという指摘は確かにと思う。内容が理解できない本は今の自分がその時ではないのかもしれず、また別の時に意味を理解できることもあるという点は、その時々の自分を知るよい機会にもなると感じた。感じ方の変化が自分の経験の結果という指摘はなるほどと思う。再読を通じ自分を模索するという点で、たとえ誰にも評価されなかったとしても、得られた自身の中の味わいは損なわれないという部分は印象的。2024/04/30

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