内容説明
オノマトペとは、擬音語・擬態語の総称である。従来のオノマトペに関する書籍は言語学や心理学分野のものであり、関心はオノマトペという言語現象そのものであった。
それに対して本書は、人の感性を定量化するためのメソッドとしてのオノマトペの強みと面白さ、言語学・認知科学・工学まで幅広い研究で活用される可能性を伝える。オノマトペ研究の第一人者である筆者のこれまでの研究をたどりながら、五感・感性・感情までオノマトペで表される豊かな情報を数値化する手法として、筆者が提案したシステムを紹介する。さらに、そのシステムを使った産業界(製造業、医療など)での応用例もいくつか挙げる。
本書の対象としては、言語学や心理学だけでなく、人工知能など工学分野に関心をもつ学生や一般の読者に読んでいただきたい。さらに、消費者が製品から何をどのように感じているのか、どうしたら消費者の感性に効果的に訴求するものが作れるのか知りたい産業・マーケティングに関わる読者にも役立つ本になることを期待している。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
myc0
12
『いい男は「や行」でねぎらう いい女は「は行」で癒す』とか『怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか』が好きな人は、この本も好きだと思う!日本語の魅力はたくさんあるけど、オノマトペもその一つ。言葉で説明できないのに、感覚的に共有できる色々な言葉たち。言葉にはするのは大変だけど、その身体的感覚を数値化することでオノマトペを解明していく凄い仕組み!難解だけど、とても面白かったです。さくっと読める1冊だけど、たくさんの研究からこの本が生まれていると思うと、それもまたグッとくる。2021/06/29
kenitirokikuti
10
言語学寄りの内容と思って手に取ったら、産業分野への応用であった。ヒトの感性を定量的に評価するには1957年につくられたSD法(意味微分法)が使われてきた。熱い-冷たいなど形容詞対の間で5あるいは7段階評価するもの。しかし、著者たちの研究によると、より体感的な感覚については形容詞対よりもオノマトペ(つるつる、ぴかぴか、ふわふわ等)の方が高い精度が得られたそうである。これを触覚・味覚・視覚印象・音質などにも適用、そしてオノマトペの数値化も行う(擬音語の印象を子音行・濁音・拗音・母音・語尾の線形和で現わすモデル2019/10/09
こたろう
2
オノマトペを音と人の感じ方から数値化を試みた研究内容の紹介。オノマトペの解説や分析という内容ではなく、著者の過去に取り組んだ研究内容についての紹介がメインの本。数値化する部分について、詳しく知りたいと思っている人は、その部分については詳説されていないので、注意が必要。オノマトペをどのように応用できるのかについて知りたい人は、著者の応用例が参考になると思う。味覚・触覚・痛覚などへの応用を取り組んだ内容が記載されている。2019/08/07
in medio tutissimus ibis.
1
痛みや質感どころか味についてもオノマトペで情報を凝縮して伝えることができるというのは面白いと思った。でもよく考えれば日常生活でも、細かな情報を一つ一つ発信しているのではなく、なんか一言で状況を説明しようとまとめがちではある。そういう時には名刺や形容詞よりもっとふわっとしている擬態語などの方が便利なのかもしれない。そうしているうちに本当は表していないような味覚についての情報も盛り込まれていくんだろうか(文化説)。それとも味覚には感情や感触も重要だというからそこから味覚がなくても味覚が導かれるのか(生理説)。2023/08/27
ニッポニテスは中州へ泳ぐ
1
☆=4/5 オノマトペは言語の中でも周縁的な位置づけにあるが、豊かな言語機能を持つ。その意味では、「ジェスチャー」や「レトリック」と似た位置づけにある(『レトリックの記号論』『mind in motion』参照)。 感性の微妙な差異を言い分けるべき状況では形容詞(あたたかい)よりもオノマトペ(ぽかぽか、ほかほか)の方がたくさんの情報量を伝えられるという話には納得。 他にも著者の開発した「オノマトペの生成システム」が興味深かった。こいつぁオノマトペの周期表だ!すごい。2020/11/14
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