内容説明
京都市中京区の薄暗い路地にある「中京こころの病院」。心の不調を抱えてこの病院を訪れた患者に、妙にノリの軽い医者が処方するのは、薬ではなく、本物の猫だった!? 戸惑いながらも、決められた日数、猫を「服薬」する患者たち。気紛れで繊細、手がかかるけど愛くるしい猫と暮らすことで、彼らの心も少しずつ変化していく。そして医者が猫を処方するのには、ある「理由」があって――猫と人が紡ぐ、もふもふハートフルストーリー!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミュポトワ@猫mode
321
猫好きなんで買ってみた本。他の人のレビューを見て、また、背表紙を読んで、自分の嫌いなジャンルを買ってしまったんじゃないかと不安になりながら読んでみたが、なかなかに面白かった。こういうお話は好き。猫が擬人化してしゃべったりする本も、愛猫をめでる本も好きだけど、こういう猫によって癒されていく本も好き。総じて言えるのは、ただ単純に俺が猫に目がないだけなんだな。猫が出ればなんだって好きなんだな。そんな気がする。ただ、これ、ハートフルストーリーではない気がするが…。俺がそのジャンルを読みなれてないせいか?2024/01/13
mae.dat
301
5話短篇。心療内科でアニマルセラピー宜しくねこを処方されるのかなぁと思うじゃん。京都特有の長々しい住所の先にある「中京こころのびょういん」に医院長先生と受付兼看護婦さんがいてね。そこは必要とする人だけに現れるみたいだよ。そして心療内科ではないらしい。でもねこは良く効きますね。でね、after catって言う強力な副作用もあるけどね。回を重ねる毎に医院の二人は妖しさを増してね。最終話では、正体を現すの、現さないのって思ったよね。更に「未病」って考えに、ねこは強力に作用する事も多いんじゃないかと思うんだけど。2023/11/29
はにこ
261
猫を処方された患者?達がそれをきっかけに立ち直っていく。処方される猫は普通の猫ちゃん。個体差があって、いたずらしたり誤飲したりとリアルで良かったw処方される猫の所属が保健所だったり、猫カフェだったり、ペットショップだったりというのもいい。先生の猫なんていっぱいいますからねぇっていうのが、何か刺さる。我が猫を失ったらもうダメだって思ってるだけに励まされた。2024/01/19
ちゃあぼう
211
悩める人が吸い寄せられるように訪れる病院において、処方されるのが、何故か猫という一見奇妙な話であるのだが、短い期間であるが猫と暮らすようになって悩みが解決に向かう不思議な話である。でも、どの話もほっこりできた。最終章では医師のニケ先生と看護師の千歳の正体も分かるように描かれている。ニケ先生たちは自分たちの問題も出会うべくして出会えた患者さんを通して少し気長な所はあるのだが解決しようとしている。読み終えて自分もこの病院にたどり着けたらいいのになと思えた。2023/12/23
Karl Heintz Schneider
190
「猫を処方します。昔から猫は百薬の長って言いますからね。たいていの病気は猫で治ります。」心の病を抱えてクリニックに来たのに医師は簡単な問診だけで、ろくな診察もせず患者たちは一匹の猫を渡されて帰される。最初は途方に暮れる患者たちだが次第に猫の可愛さ、気まぐれ、そっけなさに癒され、また猫を介して周りの人たちと会話をするようになり、いつの間にか悩んでいたことなど忘れてしまう。京都の路地裏にある「中京こころのびょういん」そしてそこで働く医師と看護師にはある秘密があって・・・。2024/05/08