マレー素描集

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マレー素描集

  • ISBN:9784863854642

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内容説明

48の掌編のつらなりによって現在のシンガポール社会を巧みに描き出したマレー系作家による短編集。

シンガポールがイギリス領の一部だった19世紀末に総督フランク・スウェッテナムが執筆した『Malay Sketches』。それから100年以上を経た現在、アルフィアン・サアットによって新たに同名の作品が書かれた。イギリス人統治者が支配下にあるマレー人の文化や気質を支配言語である英語を用いて読者に紹介するという『Malay Sketches』の構図を大胆に再利用するかたちで本書は誕生する。

【著者】
アルフィアン・サアット
1977年シンガポール生まれ。ラッフルズ・ジュニアカレッジ在籍時から演劇の創作で注目される。1998年に詩人としてデビューを飾り、1999年には短編集『サヤン、シンガポール』を発表。マレー語と英語での創作活動を続け、シンガポールでは多数の受賞歴を誇る。ほかに詩集『記憶喪失の歴史』『透明な原稿』、戯曲『アジアン・ボーイズ』三部作、『ナディラ』(いずれも未訳)。

藤井光
1980年大阪生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。東京大学文学部教授。主要訳書にS・プラセンシア『紙の民』、H・ブラーシム『死体展覧会』、M・ペンコフ『西欧の東』(以上、白水社)、D・アラルコン『ロスト・シティ・レディオ』、T・オブレヒト『タイガーズ・ワイフ』、A・ドーア『すべての見えない光』(第3回日本翻訳大賞受賞)、R・マカーイ『戦時の音楽』(以上、新潮社)、N・ドルナソ『サブリナ』(早川書房)など。

目次

改宗
ふれあわない手
三人姉妹
パヤ・レバー 午前五時
村のラジオ
日没後の礼拝のあと
泊まり
ゲイラン・セライ 午前六時
ハントゥ・テテクのお話
冷ややかな慰め
犠牲
タンピネス 午前七時
わかりやすいのにして
朝の迎え
浅いフォーカス
テロック・ブランガー 午前八時
ポイ捨ての女の子
ハントゥ・クムクムのお話
証拠
タンジョン・パガー 正午

清め
送り出し
パシ・パンジャン 午後三時
吠え声
ポンティアナクのお話
床屋
ブキ・バトック 午後五時
誕生日プレゼント
外国語
同窓会
ベドック 午後七時
トヨールのお話
やり直し
引き出し
パヤ・レバー 午後八時
重力
夜のシンガポール
お客
カンポン・グラム 午後十時
借り物の男の子
プレイバック
兄と弟
カラン 深夜十二時
星の丘
バスの後ろにいる男の子
子ども
カキ・ブキ 午前三時
解説

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

M H

34
シンガポールのマレー人の日常が垣間見える48掌編。装丁がかわいい。外務省のデータでは同国は中華系76%、マレー系15%、宗教は仏教、イスラム教、キリスト教、道教、ヒンズー教。多民族、多宗教国家における生活の葛藤が等身大に綴られる。宗教が関係する分人間関係も複雑だが、あくまで日々の生活のスケッチに徹して淡々としているのに好感。距離感の難しい家族関係など身近に感じられる瞬間もあり、以前よく訳されていたアメリカへの移民文学に通じる気もしてそれだけ普遍的なのかも。2022/01/04

かもめ通信

27
シンガポールのマレー系作家アルフィアン・サアットによる48の掌編からなる作品集。わずか1ページ強の短い作品の中にも、ストーリーがあり、驚くほど鮮明に浮かび上がってくるシーンがあることに驚く。それぞれ独立している作品で、連作というわけではないのだが根っこのところでゆるやかにつながっていて、読み進めていくうちに、マレー系の人々が直面する宗教問題、人種問題、その暮らしぶりなどが浮き彫りになっていく。2021/11/17

くさてる

21
シンガポール在住のマレー人たちを主人公に語られる、ごく短い物語、掌編、スケッチのようなものが48編収録されています。ひとつひとつはほんとうに短い、そんな物語を続けて読むうちに、シンガポールのこともマレー人のこともほとんど知らないわたしのなかに、少しずつ彼らの姿が模られていくような気分になりました。美しい話も悲しい話も、文化的に分かりにくい話も分かる話も、色々と見つかります。おすすめです。2022/07/11

まこ

15
一つ一つの話は短いけれど、その中にシンガポールのマレー系に関する描写が濃い。登場人物個人の話を描いても、宗教や人種の問題が絡んでくる。同じマレー系でも、足を引っ張るのはやめてくれ、家族内でも宗教に対する認識に差がある。シンガポール国内では中華系が増えていき、マレー系はマイノリティと化していく、中華系でないと生きづらくなるけど、日常のふとしたところにマレー系の存在感を出すようなところが。2021/10/12

Porco

11
シンガポールは多民族国家だという知識はありつつも、「華人の英語話者」中心のイメージしかなかったので、マレー人の視点から描かれる「素描」は興味深かったです。この本はブックデザイン凝っていて、全ページがグレーなのは、洋書のペーパーバックを模しているのでしょうか?2025/06/27

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