内容説明
ナチによるユダヤ人大量虐殺の首謀者、ラインハルト・ハイドリヒ。ヒムラーの右腕だった彼は、第三帝国で最も危険な男と怖れられた。チェコ政府が送り込んだ二人の青年によってプラハで決行されたハイドリヒ暗殺計画。それに続くナチの報復、青年たちの運命……。ハイドリヒとはいかなる怪物だったのか? ナチとはいったい何だったのか? 史実を題材に小説を書くことに、著者はためらい悩みながら全力で挑み、小説を書くということの本質を自らに、そして読者に問いかける。小説とは何か? ゴンクール賞最優秀新人賞受賞作。/解説=佐々木敦
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
112
このような小説は、私にとって読むのに苦労するのが常ですが、この小説は別でした。各章が非常に短く、ナチスの重要人物であるハイドリッヒとそれを暗殺する側とその事件を調べ上げようとしている作者の分身があり場面展開が楽しめました。歴史的にはよく知られている事件ですが、暗殺者側の支店などもあったりするので今までがあまり知らないことがよくわかりました。この作者の作品は2作目ですがまたほかの作品も読みたくなりました。2023/07/29
NAO
68
「ヒムラーの頭脳はハイドリヒと呼ばれる」というドイツ語の頭文字を題名とした小説。ヒムラーの右腕と呼ばれたラインハルト・ハイドリヒは、ナチによるユダヤ人大量虐殺の首謀者で責任者、「第三帝国で最も危険な男」「金髪の野獣」などといわれて怖れられた。ナチスドイツがチェコを占領すると、ロンドンに亡命したチェコ政府は、チェコの総督となったハイドリヒの暗殺を計画、コード名は類人猿作戦。作者は歴史的な出来事を小説として書くときにフィクションがあまりにも入り込みすぎてはいないかと疑問を感じ、なるべくフィクションを入れずに⇒2023/07/30
優希
56
小説を書くこととは。ひたすら問い詰めています。時代が時代ですからね。全力で小説を書きながら、自分に、読者に小説を書く意味を問うのでしょう。自分は何故小説を読むのかということをぼんやり考えました。2023/08/12
Sam
50
一言でいえばナチのユダヤ人大量虐殺を首謀したハイドリヒの暗殺という史実を下敷きにした歴史小説ということなんだろうけど、解説では「歴史記述的メタフィクション」という命名が紹介されている。確かにこの命名の通りなんとも企みの多い作品で、本書に関する予備知識のないまま読み始めたこともあって著者がやろうとしていることが理解できるようになるまでは戸惑いを抱えたまましばらく読み進めなければならなかったのだが、それ以降はそうした試みを楽しみながら読み終えることができた。なかなか得難い一冊。他の作品も読んでみたくなる。2024/04/20
特盛
34
評価4.5/5。かなり評価高い本だが、何の小説かあまり事前に知らないまま敢えて読む。著者の文明交錯は面白かったので信頼。期待をしっかり超えてくれた。本作は、ナチスのゲシュタポ長官、ユダヤ人問題の最終解決者、ハイドリヒの暗殺を試みた無名の英雄達の話だ。メタフィクション的というか、純粋な歴史小説ではなく、作者の思弁や創作での迷いなどが縦横に綴られる。彼らを、歴史に埋もれさせてはいけない。また自国や英国の恥ずべき行為も忘れてはならない。著者の想いや人物への敬意が伝わる。緊迫感あり悲しい話だが強く印象に残る作品だ2024/11/28
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