創元推理文庫<br> 深い穴に落ちてしまった

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創元推理文庫
深い穴に落ちてしまった

  • ISBN:9784488575038

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内容説明

深い森のまん中にある、深い深い穴の底。兄弟は空を見上げ、脱出の方法を思案している。土壁に階段をつくる。弟を肩にかつぎ上げる。どれほど見込みがなくとも、ふたりは生きなければならない。虫や木の根を食べ、泥水を飲む日々が綴られるなか、やがて物語は不可思議な幻覚と、めくるめく謎で満たされていく――。なぜ章番号は素数だけなのか。幻覚に隠された暗号とはなにか。そもそも兄弟はなぜ穴に落ちたのか。ふたりが辿りつく結末は、驚愕とともに力強い感動をもたらす。現代版『星の王子さま』であり、“深い穴”で生きるあなたに捧げる寓話。/解説=西崎憲

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

sin

69
訳者のあとがきは「寓意と暗喩に満ちた、大人の童話である。」と始まるが、寓意と暗喩と云うには具体的である。物語は兄弟が深い穴に閉じ込められた状態で始まり、そこを生き抜き脱出を計ろうとする。それにしても、この表紙のイラストはミスディレクションではないだろうか?確かに弟がせん妄し描き出す夢想はファンタスティックであるが、表紙のイメージではこの物語を童話と決めつけるかのように感じる。残念ながら著者の「…いろいろな角度から読める本なので、どのように読むかは読者の自由におまかせしたい」からは逸脱しているようなのだ。2023/09/27

眠る山猫屋

62
2023年度お兄ちゃん大賞第2位(嘘)。森の奥の穴に落ちた兄弟の過酷なサバイバル。「兄ちゃん、そのパン食べようよ」バチーン!「これはママの為のパンだぞ、次食べたいとか言ったら殺すぞ、虫でも喰っとけ」いやいやいや。マッチョな兄と夢見がちな弟。空腹なあまり幻覚見ちゃうくらい夢見がち。「俺は体力温存するからお前は虫も1/3ね」いやいやいや。でもそんなお兄ちゃんの秘めたる愛。どこが『星の王子さま』やねん、あ、サバイバル部分か?隠喩と寓話にカモフラージュされた絆の物語・・・かな?読み手によって(続く)2023/12/26

えりか

27
深い穴に落ちてしまった、名前も年齢も不明な兄弟。なぜ落ちたのかも不明。 冷静な兄と想像を超えた幻覚に陥る弟。 虫や木の根を食べながら、2人は脱出できるのかも一つのポイント。 この深い穴、いろいろな読み方があると思いますが、私は身近で想像しやすい「窮屈な生活」と捉えました。いつどこで、穴に落ちてしまうかわからない。むしろ、もうすでに私は深い穴の中に落ちているのかもしれない。 また謎めいた仕掛けもある。各章は素数のみ。それはなぜなのか。そして、隠された暗号の解読にぜひ挑んでほしい。2023/07/20

コンチャン

20
タイトルの通り、穴に落ちてしまった二人の兄弟の物語です。これが、何かを暗示しているのか、全てを読み解くのは難しい。細かいしかけもあって(あとがきを読まないと全く分かりませんでしたが…)深読みできる作品だと思います。2024/01/16

プロミネンス

19
兄弟二人が深さ7mの穴に落ちてしまった。試行錯誤するがとても出られそうにない。虫を食べたり暇を潰したり、雨を待ったりしながら何日も、何十日も生き延びようとする。その手を取り合っていく姿がたまらなかった。弟がだんだんおかしくなっていく様が見ていられなかった。どちらか片方が死ぬという絶望的なことはないようにと祈りながら読み進めました。なぜ2人は穴に落ちてしまったのか、それが最後に明らかになり胸の痛みがより一層深まりました。2023/07/18

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