内容説明
推理小説の歴史をひもとけば、『黄色い部屋の謎』や『アクロイド殺害事件』のように、犯人の意外性で売り出した名作があまた存在する。ところがこれまで、どんな物語にも不可欠な人物であるのに、かつてこれを犯人に仕立てた推理小説というのは、ただの一編もなかった。読者=犯人である。そのことに気づいた、推理作家たらんと志すかけだしのぼくは、犯人を読者に求めようとしたのだ。そう、この推理小説中に伏在する真犯人は、きみなんです!――推理小説の仕掛け人・辻真先の出発点となった名作登場。/解説=桂真佐喜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
森オサム
42
ポテト&スーパーシリーズ一作目。昭和47年の作品。「読者=犯人」とはどう言う意味か?、と読んで見ましたが、まあ嘘では無いですかねぇ(笑)。短編集では無いのでしょうが、長編とするなら主人公の違うエピソードが交互に書かれ、少々分かり辛かった様には思います。とは言え言葉遣いや社会的背景の古さは横に置くと、総合的には面白かったです。時刻表トリックの鉄道ミステリでも有りますし、アニメ、マンガと作者らしい。また解説も洒落てます、文体や内容で想像出来ましたが最後までサービス精神は旺盛。薄い本ですが読み応えが有りました。2024/05/31
鐵太郎
25
昭和40年代にこの本が書かれたのは、大人たちが今も言われる決まり文句「いまの若い者は活字に親しもうとしない」への反発からだそうです。中高生向けの面白い本格的なミステリなどがないのに、彼らが読まないことを歎くとは何て無責任な、と。というわけで、「この推理小説の真犯人は(読者である)きみなんです!」という刺激的なプロローグで始まる連作短編の開幕となります。ほほう、時刻表トリックに重ねてあれもこれも詰め込んで、なんと爽快で陰惨で快適なミステリに仕立てたものですね! 面白い!2023/10/13
おうつき
20
ずっと読もうと思っていた一冊。良い具合に気楽に読める内容で結構楽しめてしまった。個々の要素で爪の甘さはあるが、主題である「読者=犯人」という趣向が割と巧くできている。文体や登場人物達のノリ自体も時代を感じつつ雰囲気に浸ることができた。2024/02/22
katsubek
18
本格推理です。という本。まあ、時代背景が古いというのはいたしかたないところ。が、二重三重に張り巡らされたトリックの網はさすがである。今読んでも十分楽しい。2025/04/13
マツユキ
15
主人公は、中学生のキリコ(スーパー)と薩次(ポテト)。人気漫画原作者が殺された事件と、女子トイレの個室で亡くなった同級生の時間に挑みます。それとは別に飛行機事故の遺族たちの物語もあり、犯人は読者ってどう言う事?と思っていたら…。後味悪が悪いままで終わらなかったのが良かったです。容姿とか、勉強とか、才能とかの優劣がはっきりでていて、そんな中で恋愛があり、美しくはないけれど、強く印象に残りました。シリーズ化されているので、続きも読みたい。2024/06/18




