内容説明
2003年4月末に突然あらわれた〝真っ白〟な集団。奇怪な装束と行動で話題をさらった千乃正法会/パナウェーブ研究所とは。彼らは何を信じ、何を求めていたのか。「教祖」である千乃裕子の生涯をたどり、その謎を解き明かす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
60
【私はよく、小さい頃から人から誤解を受けては、悲しい思いをしていたものでした。『天国の扉』より】真っ白い車の列。渦巻き模様のステッカー。20年前にメディアで流れた「謎の白装束集団」の正体は、日本全国を流浪していた「千乃正法会/パナウェーブ研究所」。「教祖」千乃裕子こと増山英美の72年の生涯を辿り、その謎を解き明かす。<幹部信者が千乃に良識をもって意見具申するたび、ことごとく千乃から「背反者」と罵られ、「サタンの傀儡」として「消滅」させられるのである。そのたびに千乃は多くの弟子たちから見捨てられていく>。⇒2023/08/01
つちのこ
35
謎の白装束集団騒動のことは記憶の片隅に残っている。その時にパナウェーブ研究所という家電メーカーのような名称が刷り込まれたが、実際は千乃正法会という宗教でも政治団体でもない奇怪な組織。本書は中心である千乃裕子の生涯に迫っていくが、資料に頼り過ぎて千乃本人の人間像が掴めず、ベールに包まれたまま最後まで実態が見えてこなかったのが残念。千乃に人を惹きつける求心力があったとは思えないが、気づいたら周囲から祭り上げられていのではないだろうか。狂信的な幻想と幻視、幻聴が織りなす狂騒劇に翻弄された人々が哀れでならない。2023/09/28
くさてる
27
白装束で身を固め山中を移動するこの団体のことは当時ニュースで見た記憶がある。新興宗教なのかな?ぐらいの印象だったけれど、その教祖の生涯を追ったこのノンフィクションでその全体像はなんとなくわかった気がしました。千乃裕子という女性の生涯を追い、その理解が困難な教義(?)についていも誠実に解説したうえで、団体の発展と崩壊の流れを追い、読み応えありました。とても理解できないおかしな妄想にみえるものでも、こういうかたちになっていく。人間の信仰と宗教というものを理解するひとつのかけらであると思います。2023/11/19
imagine
14
下世話な好奇心と、カルトという題材のタイムリーさで手に取る。かつてワイドショーで世間を騒がせたパナウェーブ研究所と教祖千乃裕子。その誕生から隆盛、凋落までが辿られている。読み進めるうちに知りたくなるのは、次々と離脱していく信者の中で、それでも教義と教祖を信じて残った人達の心境だ。本書はそこに、もう一歩迫り切れていない。かつての戦争や、日本赤軍の内ゲバなど、同じ構図は枚挙に暇がない。服従の心理が働く状況や、それでもすがりたくなる宗教論、といった記述を求めるのは欲張りすぎだろうか。2023/05/29
よしじ乃輔
12
奇妙な白装束を纏い白いワゴン車で“キャラバン“化し移動する集団。宗教団体千乃正法と、宗主千野裕子の通史。教義や発行冊子からの解説が非常に多くちょっと萎える。前半と後半で精神状態が変わった彼女を見放さなかった信者の存在が不思議で仕方ない。金と時間を注ぎ込み限界までいくと人は自分が間違っていないと曲げない信念が生まれるという言葉に納得。病的世界と宗教的世界の差異は周囲の人間の解釈一つであり環境でいくらでも変わりえるあやふやなものだと思った。2023/09/04
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