内容説明
1941年上海。日本軍傀儡の特務工作機関「ジェスフィールド76」主任、丁黙邨を暗殺せよ。美貌の女スパイ鄭蘋茹(テンピンルー)に指令が下った。日本人の母と中国人の父。二つの祖国に引き裂かれながら、非情なテロルに身を投じた女性の胸中に去来したものは…。蒋介石直属の諜報謀略機関、藍衣社とC.C.団は、汪兆銘政府に対して徹底的なテロを繰り広げ、日本軍の占領工作に大打撃を与えた。これに対抗するため日本軍が極秘に設置した特務機関が、共同租界ジェスフィールド路76号番地を本拠とする「ジェスフィールド76号」だった。中国国民党中央執行委員会調査統計局の工作員として引き抜かれた蘋茹は、残忍で冷酷と恐れられるジェスフィールド主任の丁黙邨から情報を盗むため、彼の懐に飛び込む。黙邨の寵愛を受けることに成功した蘋茹に組織から最終指令が下った。だがそれは危険で非情な、後戻りできないものだった…書下し長篇歴史サスペンス
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rosetta
31
★★★☆☆戦争中の上海、中国の組織に所属する美しいピンルーが、親日組織の中国人の長を暗殺に失敗し、処刑される。ピンルーに未練を残す反戦派の日本人吉平はその死の状況を調べて回る。悪くは無いんだけど先日『上海灯蛾』や『香港陥落』を読んでいたからこの程度じゃなぁ、という感想。記念すべき2500冊目がこんな本で悔いが残る(>_<)2023/06/10
都忘れ
6
日本人の母中国人の父という出自で日中戦争の上海で抗日運動に身を投じた鄭蘋茹を描いた作品。鄭蘋茹の処刑の場面から始まり、彼女に関わりのあった日本人吉平がその死を調べてゆく展開で、歴史小説とみればいいのだが、スパイ小説と思うと肩透かしの印象だった。2024/10/28
千本通り
5
これは実在した女性工作員鄭蘋茹(テンピンルー)の話である。元ネタは参考文献の最初にある「美貌のスパイ 鄭蘋茹 ふたつの祖国に引き裂かれた家族の悲劇」(柳沢隆行著 光人社刊)で鄭蘋茹の顔写真が表紙になっていて、他にも彼女の写真が豊富に載っていて、また敵役の丁黙邨(ていもくそん)など多くの人物の写真や暗殺未遂現場となったシベリア毛皮店の写真も載っている。この本には鄭蘋茹の顔写真が一枚も載っていないが、それでよかったのか? 2025/05/12
marsan
4
図書館本。 鄭蘋茹は日中戦争の際に上海で抗日運動に身を投じた女スパイ。彼女を道具扱いにした国民党の残酷さがやるせない。ストーリーテラーの花野吉平は波瀾万丈の人生を歩んだものの戦後は成功している。恋心を抱いた鄭蘋茹の壮絶な生き方に対し、時代に抗いながらも結局はうまく波に乗った人生で終焉を迎えた。彼女も生きておれば平凡な妻であり母となっていたのだろう。時代の巨大な流れに向かって巻き込まれていくのは誇り高く生きる者にとって不可避な運命であった。膨大な犠牲によって平和を勝ち取ったことを忘れてはなるまい。24022024/01/15
takao
1
ふむ2024/08/13
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