講談社現代新書<br> 戦争の地政学

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講談社現代新書
戦争の地政学

  • 著者名:篠田英朗【著】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 講談社(2023/03発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065312834

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内容説明

そもそも「地政学」とは何か?
地理的条件は世界をどう動かしてきたのか?
「そもそも」「なぜ」から根本的に問いなおし、激動世界のしくみを深く読み解く「地政学入門」の決定版!

現代人の必須教養「地政学」の二つの世界観を理解することで、17世紀ヨーロッパの国際情勢から第二次大戦前後の日本、冷戦、ロシア・ウクライナ戦争まで、約500年間に起きた戦争と激動世界の「構造を視る力」をゼロから身につける!

「一般に地政学と呼ばれているものには、二つの全く異なる伝統がある。『英米系地政学』と『大陸系地政学』と呼ばれている伝統だ。両者の相違は、一般には、二つの学派の違いのようなものだと説明される。しかし、両者は、地政学の中の学派的な相違というよりも、実はもっと大きな根源的な世界観の対立を示すものだ。しかもそれは政策面の違いにも行きつく。たとえば海を重視する英米系地政学は、分散的に存在する独立主体のネットワーク型の結びつきを重視する戦略に行きつく。陸を重視する大陸系地政学は、圏域思想をその特徴とし、影響が及ぶ範囲の確保と拡張にこだわる」――「はじめに」より

【本書のおもな内容】
●地政学は「学問分野」ではないという事実
●「英米系地政学」と「大陸系地政学」の決定的な違い
●地政学をめぐる争いは「人間の世界観」をめぐる争い
●ハートランド、シー・パワー、ランド・パワーとは?
●生存圏、パン・イデーン、ゲオポリティークとは?
●日英同盟が「マッキンダー理論」を生み出した
●なぜ戦後日本で地政学が“タブー視”されたのか?
●日米“シー・パワー”同盟が英米系地政学の命運を左右する
●冷戦終焉をめぐる視点――「歴史の終わり」と「文明の衝突」
●地政学はロシア・ウクライナ戦争をどう説明するのか?
●中国とは何か? 「一帯一路」とは何か?
●私たちはどんな時代に生きているのか?

目次

はじめに 地政学の視点と激変する世界情勢
第1部 地政学とは何か
第1章 英米系地政学と大陸系地政学の対峙
第2章 地政学理論の対立の構図~マッキンダーとハウスホーファー~
第3章 対立する地政学理論の展開~スパイクマンとシュミット~
第3部  地政学から見た戦争の歴史
第4章 ヨーロッパにおける戦争の歴史
第5章 地政学から見た20世紀の冷戦
第6章 冷戦終焉後の世界とロシア・ウクライナ戦争
第3部  地政学の視点から見た日本の戦争
第7章 英米系地政学から見た戦前の日本
第8章 大陸系地政学から見た戦中の日本
第9章 戦後日本の密教としての地政学
第4部  地政学の視点から見た現代世界の戦争
第10章 現代世界の武力紛争の全体構図
第11章 世界各地域の戦争の構図
第12章 自由で開かれたインド太平洋と一帯一路
おわりに 地政学という紛争分析の視点

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

旅するランナー

219
大国が企てる非公式な生存圏/勢力圏/広域圏の拡大により、地政学的バランスが崩れ始める昨今の世界情勢。それを裏付ける地政学そのものが二極に対立している摩訶不思議。ハートランド、ランド·パワー、シー·パワーなどの設定により生まれてくる、歴史の地理的回転軸を起点にした体系的な世界全体の見取り図である、マッキンダー理論。地域ごとの強者が持つ影響力によって編成されるいくつかの圏域に多元的に世界を別ける、ハウスホーファー理論。しかし、どちらにしても世界平和をもたらしはしない。2023/07/07

パトラッシュ

119
英米など海洋国家と欧州の大陸国家では、地理的事情から見た国際情勢の光景が明らかに違う。複数国家の共同作業で敵国封じ込めを図る英米に対し、大陸は自国の勢力拡張こそ望んだ。当然それぞれの志向する異なる地政学の対立が今日に至る戦争と対立の歴史を形成してきた。日本は敗戦で英米系地政学に基づく外交戦略に組み込まれ、それはソ連崩壊で確定したと思われたが、大陸系地政学に固執するロシアはウクライナ侵攻に踏み切った。一方で長い海岸線を持つ中国は、双方の良いとこどりを図っている。国際政治を理解する明快な補助線を与えてくれる。2023/04/16

trazom

114
地政学を、マッキンダーの英米系地政学とハウスホーファーの大陸系地政学に大別し、両者の相克という文脈で二十世紀の戦争の歴史を語るというのはよくある論法。一方、モンロー・ドクトリンは、英米系地政学からすれば孤立主義、大陸系地政学からすれば生存圏/勢力圏/広域圏の理念という両義性を有し、それがアメリカの二枚舌外交に繋がっているという指摘は新鮮だった。今、地政学的に最も注目すべきは、ランド・パワーとシー・パワー双方に覇権を目指す「両生類」の中国。「一帯一路」構想に、地政学が理論的に対応できてないのがもどかしい。2023/04/30

ばたやん@かみがた

94
《2つの地政学が見せる余りに異なった世界観》(1)最近、書店でも書名でお目にかかることが増えた「地政学」。本書はその「地政学」が大きく「大陸派」と「英米派」の2つの流れがあることを提示、その2つの基礎にある世界観の相克が日米欧などの近代史をダイナミックに動かして来た、と解き明かします。さらに、それらが、現代の露ウ戦争や一帯一路VS.「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)の対立などに与えている影響を見るという、少し「お腹いっぱい」になる壮大な描き出し方です。(1/9) 2023/07/26

skunk_c

64
初めに英米系と大陸系の地政学理論を整理し、それを緩用しながら世界の戦争や現代の国際紛争を地政学的に説明している。地政学=構造的視点ということについては同感。ただし安全保障に関する考え方については、日米同盟をほぼ手放しで称揚しているのが気になった。また、日本の戦争に関しては、著者が日本史についてはあまり得意ではないなと思った。例えば明治初期の国際問題の論争の例として明治6年征韓論争をあげるが、2年足らずで江華島事件を起こしているわけで、あれは遣外使節団と留守政府のヘゲモニー争いと捉える方が適切と思うが。2023/07/24

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