内容説明
バカばっかりやってきた、最高の親友。買い物、映画、カラオケ、ファミレス、ゲーセン……エトセトラ、エトセトラ。夏には山を越えてホタルを見に行き、秋には駅前でストリートライブもやった。――叶うことなら今と変わらない五人組のままでいたいと願っていた。それぞれが濁った感情を内に秘めたまま。輝かしい青春に浸るふりをしながら。
純也と秘密の恋愛関係を結んでしまった夜瑠。何も知らずに夜瑠に恋を伝えようとする新太郎。新太郎に協力するふりをしながら己の恋の成就をたくらむ火乃子。不穏な空気に孤独感を深める青嵐。そしてすべてが破局に向かおうとする中、ただ一人純也だけは元の関係に戻るために抗おうとしていた。
秘密の恋の物語、完結編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
42
今と変わらない五人組のままでいたいと願っていた。それぞれが濁った感情を内に秘めたまま。しかしそれぞれの想いが恋愛も友情も、全てを壊してゆく秘密の恋の物語の第三弾。関係を秘めたままでいようとする純也と夜瑠。何も知らず夜瑠に恋を伝えようとする新太郎。彼に協力するふりをしながら恋の成就を企む火乃子。不穏な空気に孤独感を深める青嵐。そこからの行き着くところまで止まらない激動の展開、何とか取り戻そうとする彼女の奔走もありましたけど、もう一度ぶつかりあえた彼らだからこそ、いつかまたみんなで笑い合える日を迎えて欲しい。2023/03/12
オセロ
31
【祝・完結】 親友達との友情を大切にしながらも、その心地良い関係を壊さない為に皆には隠れて付き合う純也と夜瑠。その裏で火乃子、新太郎、青嵐達の思惑と恋心が渦巻く中で友情を取るか恋心を取るか選択を迫られる…。 それぞれがそれぞれのことを大切に思っているからこそ秘密が増えていくことでグループが崩壊していく様子は何とも言えませんでしたが、それでも捨てきれない友情への思いがあって。願いを叶える為にそれぞれが足掻いたからこその結末と、その裏で実る歪んだ純愛が印象的でした。2023/03/10
真白優樹
21
多くを望み覆い隠し。築き上げた歪みと闇が答えを迎える最終巻。―――身勝手、傲慢、強欲。けれどこの愛だけは。 いつか払うと思っていた負債を遂に払う時が来る、全ての露呈が友情をぶち壊し更地に変えていく今巻。それでも軟着陸に導き、穏やかな別れの果てにそれでも愛を選んでいく巻であり、その愛のあり方が心に突き刺さる巻である。咲く花は黒く、磨かれた石はより昏く。けれど確かにそこに在るのは愛、純愛。この先彼等が進むのは茨の路か、それとも幸せの路か。少しでも幸いがある事を願いたい。 うん、最高に面白かった。2023/03/14
rotti619
19
純也と夜瑠が秘密の関係をもってしまった事から少しずつ、目をそらしたり先送りしながら仲良し5人組が抱えていた闇・歪みが一気に表面化。今まで大切にしてきたものが木端微塵に砕け散る、地獄のような内容となっている。最後まで友達として繋ぎ止めようとするのが、事の発端である純也であり、登場する男性を全て虜にする夜瑠の2人というのも、何という皮肉。人が恋愛感情に焦がれると、意地汚くなるし醜くもなるという、人のエゴを隠さず表現した名作と呼べる内容だった。そんな2人が最後に出した結論の解釈は、読者の度量に委ねられている。2023/03/14
ゆ〜た◢◣
18
★★★★★+ 純也らしい素敵なクライマックスでした! 内容は感情をグチャグチャされるようなえげつないものでしたが… あの時に震えていた純也、それでも誰にも言えない事を言えた彼を褒めたい! 2023/03/10