内容説明
両手の指9本を失いながら“七大陸最高峰単独無酸素”登頂を目指した登山家・栗城史多氏。エベレスト登頂をインターネットで生中継することを掲げ、SNS時代の寵児と称賛を受けた。しかし、8度目の挑戦となった2018年5月21日、滑落死。35歳だった。彼はなぜ凍傷で指を失ったあともエベレストに挑み続けたのか? 最後の挑戦に、登れるはずのない最難関のルートを選んだ理由は何だったのか? 滑落死は本当に事故だったのか? そして、彼は何者だったのか? 謎多き人気クライマーの心の内を、綿密な取材で解き明かした第18回開高健ノンフィクション賞受賞作!
目次
序幕 真冬の墓地
第一幕 お笑いタレントになりたかった登山家
第二幕 奇跡を起こす男と応援団
第三幕 遺体の名は「ジャパニーズ・ガール」
第四幕 エベレストを目指す「ビジネスマン」
第五幕 夢の共有
第六幕 開演! エベレスト劇場
第七幕 婚約破棄と取材の終わり
第八幕 登頂のタイミングは「占い」で決める?
第九幕 両手の指九本を切断
第十幕 再起と炎上
第十一幕 彼自身の「見えない山」
第十二幕 終演~「神」の降臨~
最終幕 単独
単行本あとがき
初冬の墓地「文庫版あとがき」にかえて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
gonta19
126
2023/3/15 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。 2023/6/1〜6/8 劇場型登山家?栗城史多氏の取材をしていた河野氏による、栗城氏のノンフィクション。第18回開高健ノンフィクション賞受賞作。 活動当時から栗城氏の名前は知っており、毀誉褒貶の激しい人だなぁ、と思っていたが、こんな人だった(少なくとも河野氏の眼を通しては)んだな、ということがよくわかる。2023/06/08
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47
"七大陸最高峰単独無酸素"登頂を目指した登山家・栗城史多さん35歳の人生を。。あるがままに語ろう。あるものはあると言おう。無いものはないと言おう。無いものをあるとは言っては行けない。有るものを無いといってはいけない。もう一度。あるがままに伝えよう。下莞爾ディレクターの言葉を胸に刻み著者が、まとめあげたノンフィクション。「謎」と「矛盾」に満ちた登山家の悲運を感じた。彼は『夢』を共有したファンたちを裏切ったのだろうか?夢を共有する人々のために、栗城氏はあの世に行っても恐らく演じ続けているのだという。。→2023/09/11
カブ
43
両手の指九本を失いながらも「七代大陸最高峰単独無酸素登頂」を目指した登山家・栗城史多氏。エベレストに8度目の挑戦中に35歳で滑落死する。生前の彼の姿を追いながら彼が何者であったのかに迫る。栗城氏のことはよく知らなかったけれど、冒険家としての姿よりタレントのような感じがする。なぜ山だったのか、山じゃなく他のことで生きることができたのではと思う。2024/02/28
007 kazu
34
35歳で夭折した登山家栗城氏に迫るノンフィクション。 訃報に接する以前からその「悪評」は目にしていた。やはり、一読して虚言癖や迷惑を顧みずに人を振り回す大人になり切れない子供という印象はぬぐえない。どこか神聖視される登山という行為をエンタメ化したが故に反感も大きかったが、良きに解釈すれば様々なツールが発達した現代の寵児という側面もあった。時代を変えるのは若者、馬鹿者、よそ者というがそれらの要素を持ち合わせていた。 ただ残念ながら命を賭す行為である登山については明らかに実力が伴っていなかった。(続く)2025/02/21
佐倉
25
被伝者である栗城が標榜した”七大陸最高峰無酸素登頂への挑戦”は登山をさほど知らない人間としては「へぇ」となるのだが、そのうちの六大陸はそもそも酸素ボンベが必要ない山ということでこの時点で胡散臭いものを感じてしまう。だが、著者が掘り下げた栗城の姿を見ていくと、どうも詐欺師とか山師というよりは、自分や周囲が語ったポジティブな物語に飲み込まれてしまった/飲み込まれてしまうことでしか生きられなかった人という風に見えてくる。それは登山だけでなく、彼が宣伝塔になったマルチ、傾倒した占いと様々な物事にも言えるだろう。2025/08/20
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