内容説明
社会保障政策は最大規模の公共政策であり、国民経済と国民生活の現在と未来を左右するものである。社会保障政策の舵取りはどうあるべきか。改革の青写真を論じ続けている著者が来るべき制度改革への指針を示す良質のガイド。既刊『ちょっと気になる~』シリーズ姉妹編として、「社会保障」をめぐるより深い知識と視点に導く一書。
目次
はじめに,そして勤労者皆保険の話
『ちょっと気になる社会保障』から『もっと気になる社会保障』へ
社会保障をめぐる環境の変化
書名など
労働力希少社会を迎えて
勤労者皆保険について
社会保険の適用除外が非正規雇用,格差,貧困を生む
拙著文献表
年 金
第1章 不確実性と公的年金保険の過去,現在,未来観
将来不安という人間の恐怖を制御してきた制度の進化
資本主義と不確実性
公的年金保険の制度設計
1954年改革──日本の公的年金の原点を創る
国民皆年金へ
1985年改革──基礎年金の導入
1994年,2000年改革における支給開始年齢の引き上げ
2000年年金改革の挫折から2004年改革へ
人生100年時代における公的年金保険に向けて
最後に──頑強で,堂々としていて,壊しがたいもの
第2章 働き方の変化と年金制度,そしてライフプラン
働き方改革──日本型「同一労働同一賃金」へ
女性労働
非正規雇用と被用者保険の適用拡大
高齢期雇用
テレワークと柔軟な働き方
働き方の変化と年金制度,そしてライフプラン
第3章 令和時代の公的年金保険に向けて
「不確実」という言葉に込めた意味
年金,社会保障と税
社会保障と一般会計の関係
次期年金改革について
公的年金保険を取り巻く環境の変化
公的年金の負担と給付の構造
社会保障の在り方を規定する価値,目標の比重が変わる
植樹のような意識で
第4章 日本の労働市場における被用者保険適用拡大の意義
要 旨
はじめに
被用者保険の適用拡大と日本の非正規雇用の特徴
被用者保険の適用拡大の展開
おわりに
医療と介護
第5章 コロナ禍の今,日本医療の特徴を考える──この国の医療の形はどのように生まれたのか
公的所有主体の欧米,私的所有主体の日本
占領期にGHQが与えた影響
独立後,高度成長期の医療政策はどうなったか
取り組まれている医療提供体制の改革
第6章 日本医師会は,なぜ任意加入なのか
1945年終戦
1946年
GHQと日本医師会の齟齬
波乱の1946年11月,日本医師会第6回臨時総会
「任意設立・任意加入」体制確立──1946年12月9日改組委員会第1回会合
1947年は特殊法人を断念して社団法人へ
第7章 日本の医療政策,そのベクトルをパンデミックの渦中に考える
医療政策におけるある種の法則
内生的医療制度論
内生的医療制度と医療費
政策形成過程までもが内生的に変化
議論が求められる課題までもが変化してきている
今後とも追加的な財源が必要となる医療と介護
第8章 社会的共通資本としての地域医療連携推進法人
ほっこりする文章
2013年の社会保障制度改革国民会議の頃の議論
競争から協調へ
社会的共通資本としての地域医療連携推進法人
制度というのは進化するもの
第9章 かかりつけ医という言葉の誕生と変遷の歴史
「かかりつけ医」という言葉の誕生
かかりつけ医から,かかりつけ医機能へ
厚労省におけるかかりつけ医機能の用法
かかりつけ医機能とかかりつけ医
新しく生まれた「かかりつけの医師」と再定義された「かかりつけ医機能」
かかりつけ医機能とプライマリ・ケア
労 働
ほか
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hurosinki
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じょん