内容説明
なぜ怖いと思いながら、それに惹かれてしまうのか。
美術からオカルトまで、さまざまなジャンルを渉猟しながらその本質に迫る。
妖怪、UFO、心霊写真、美術、漫画、小説、映画…
多様な書物、文化を縦横に読み解いた“恐怖のワンダーランド”!
「恐怖は、人間らしい魅力に満ち溢れ、私たちの生に未来を与える感覚だ」
「私たちは恐怖をわざわざ味わうために、さまざまなメディアを渉猟する。
おそらくそれは、恐怖が意外な豊かさを秘めていることを、私たちが無意識のうちに知っているからだ」
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〈恐怖〉の行きつく、弥終(いやはて)は……!?
博捜、博捜、ああ今日も、博捜あるのみ!
――東 雅夫
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《一》世界妖怪図鑑
《二》矢追純一のUFO史観
《三》パラフィクションとしての『地獄変』
《四》七〇年代カタストロフィ文化
《五》心霊写真の父、中岡俊哉
《六》恐怖の美術館
ムンクの描いた吸血鬼
ダ・ヴィンチにおける愛と死
フュースリ、エロスの悪魔
ゴヤに魔術の自由を見る
幻視者、ウィリアム・ブレイク
ルドンの顕微鏡的世界
ゲオルギオスの龍退治
《七》ポップ異端文書としての『百億』
《八》『イグアナの娘』とマゾ的支配
《九》寺山修司とエヴァンゲリオン
《十》消えていく道化
《十一》恐怖の法則
《十二》恐怖の記号論
《十三》恐怖の起源
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
17
世界妖怪図鑑、矢追純一、海外の絵画やマンガ等々を切り口に「恐怖」を語った内容。入り口は、好き者ならばみな知っているような作品が多いけれど、そこから広がっていく著者の知見が刺激的で興味深かった。章の終わりに参考文献を丁寧に記載してくれているので、自分もそこからいろいろと考えを広げていけそう。2023/03/22
qoop
7
恐怖という感情を、感覚としては明瞭に思えるのに対象化し辛いものと捉え、百を越える書籍(そして絵画)から表象を繙き、記号論を用いてその起源や本質を探ろうと試みた論考集。著者は恐怖を誘導して他者を操る感性の悪用について触れているが、批判する側が異なる立場に誘導されていることも多いだろう。諭す側が騙されていたという恐怖の一定型を思い浮かべた。2022/12/11
らむだ
3
小説・漫画・美術・演劇など、幅広い分野の“恐怖”表象から人がなぜ不快であるはずの恐怖を求めるのかを記号論と美学の論理を用いて探る。2023/08/25
伊野
3
「恐怖」という人間の機能の一つについて、記号論やフランスの近代思想、美学などを援用しながら学際的に考察する。前半は様々な文化的表象を例に恐怖について多角的視点を提供している。70年代に偏りが見られるが、本書で指摘される「恐怖の大きな要素のひとつは、因果律の乱れ」であることを鑑みると、科学的根拠が曖昧になり得たことが恐怖の存在をし易くする環境要因だったのではないかとも考えてしまう。シニフィアンの浮遊可能性。《9》寺山修司とエヴァンゲリオンが個人的には特に興味深かった。2023/04/19
ヂェフ
1
あまりこの手の文化史に関する本を読んだことがないので新鮮だった。親子関係の話とかマゾ的支配のあたりは読んでいてひえ〜となってしまう。2023/05/08