内容説明
遺品博物館は、その名のとおり遺品を収蔵する博物館です。古今東西、さまざまな遺品を蒐集しております。選定基準については諸事情によりお話しできません。ただ、その方の人生において重要な物語に関わるものを選ぶことになっております……生前に約束した遺品の寄贈を受けるため、契約者の遺族の元を訪れる遺品博物館の学芸員、吉田・T・吉夫。この男が収蔵品として選ぶのは、死者自身の人生のみならず、遺された人々の人生にとっても重要な意味を持つ品々だった。彼が遺品と引き換えにもたらすのは、救済か、破局か――。熟練の技巧がえぐり出す、死者と生者を繋ぐ八つの謎物語。/【目次】川の様子を見に行く/ふたりの秘密のために/燃やしても過去は消えない/不器用なダンスを踊ろう/何かを集めずにはいられない/空に金魚を泳がせる/時を戻す魔法/大切なものは人それぞれ/解説=三島政幸
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
akiᵕ̈
36
亡くなった人の『物語』を遺品博物館に収蔵するという、その選定が気になる8つの物語。自然死と思われる死が実は事件性のあるものだったり、故人の人知れぬ思いだったりを、故人を取り巻く人間関係にクローズアップしながら遺品博物館の学芸員である吉田・T・吉夫が登場し故人の遺言と共に明らかにしていく。家族だったり仕事絡みであったり色々な人が登場するけど、みんなそれぞれに腹に一物を持っていてそれがリアルで恐ろしい。これでは故人も浮かばれないよ。そこにある邪心を吉田が見事に推察して解き明かし吹き飛ばす様は何とも爽快だった。2023/03/23
igaiga
13
謎な人物吉田。遺品をただ持っていくだけではなく、なんだろう。事件を解決までするのか。高校生同士の「180日」の話が、男の子の野心だけじゃなくて、女の子の方にもそういう考えがあったっていうのは、何というか自分的には新発見でした。そういうこともあるのね。2025/07/09
きょん
11
人々の遺品を収蔵する博物館学芸員の吉田氏が解き明かす人間関係にまつわる謎が語られる短編集。どうしても人の死と相続が絡む為やりきれない気持ちになる話が多かったけど、若くして病死した少女と彼女との話を小説に書いた少年の話はさわやかな気分も感じられた。ミステリとしては、偽吉田氏の登場する最終話が読み応えあり。2023/04/16
タッキー
10
ちょうど1000冊達成!過度な期待をせずに読みました。故人の生涯のストーリーともなる遺品を集める遺品博物館。その収集を行っている謎の吉田T吉夫という人物。どのストーリーも、大きな事件が起こるわけではなく、1人の亡くなった人と、その人に関わっていた人がいるだけで、ストーリー自体はなんてことはないもの。しかし、遺品の収集を通じて明らかにされる隠された事実が意外なもので、そこがこの本の面白いところです。中でも『不器用なダンスを踊ろう』は、良かったです。地味ではありますが、秀作だと思います。2025/01/11
bluelotus
7
★★★☆☆ 解説には静かな感動と書かれていたが、私としては笑ゥせぇるすまん(←ちなみに読んだことはない(笑))のような人間の裏側を覗いたような何とも言えない後味が残った。2023/03/27
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