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内容説明
傍らで食べるもの――それはだれか?
ロラン・バルト、ブリア=サヴァラン、フーリエ、ルキアノス、キケロ、カール・シュミット、ディオゲネス、九鬼周造、北大路魯山人、石原吉郎、ポン・ジュノ、メルヴィル、アーレントらのテクストに潜む、友でも敵でもない曖昧な他者=「食客」。彼らの足跡をたどり、口当たりのよい「歓待」や「共生」という言葉によって覆い隠されている、「寄生」の現実を探究する。
第一章 共生
第二章 孤食
第三章 口唇
第四章 食客
第五章 海賊
第六章 異人
第七章 味会
第八章 坐辺
第九章 飲食
第十章 寄生(プロローグ)
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
梶
34
研究している作家が扱われており手に取ったが、引き込まれるうちに読了してしまった。中間的な他者としての「食客」を時代もジャンルもさまざまな人物の言説から浮き彫りにしていく論考。雑誌の連載だったこともあり、焦点が揺れ動きつつ、それでいて先般の議論を引き継いでゆこうとする手際は、生きた一人の研究者、という感じだった。快哉に読ませてくれる良書である。2024/09/01
かんがく
13
近年キーワードとなっている「共生」とは所与の現実であって目標ではないという導入から、境界に存在する「食客」と、「寄生」という関係性を考察するテーマ設定は魅力的だが、一つ一つの章の論理はつかみどころがなく、ややまとまりのない状態で終わってしまった。2023/09/03
msykst
12
「共生とは高邁な理想であるよりも前に、われわれがけっして抗うことのできない現実のことである」という、自分も(おそらく多くの人も)漫然と感じている問題意識が冒頭で明瞭に言語化されて興味を惹かれた。本書では「友/敵」という二分法を脱構築するんだが、それを政治学の理論ではなく、「食客」という存在の吟味を通じて行う。無論「食客」は古今の寓話に登場する「類型的人物」である。しかし本書では、古今東西の人物が語った言葉の中に「食客」を見出し、それを飼い慣らされたキャラとしてではなく、全ての存在者の生の条件として描く。 2023/03/12
れどれ
4
ある場に到来する他者についての記述を期待していたが、もう一つ踏み込んでほしいという論がほとんどだった。共生、寄生といった言葉を軸にしすぎている感もあり、魅力的な題材がややもったいない。単純に読みものとしては面白かった。2023/07/16
kentaro mori
4
友でも敵でもなく「いかにして共に生きるか」、友でも敵でもないものの方がはるかに多いのだ。●わたしたちの傍らには、つねに何ものかがいる。わたしたちはつねに、何ものかと空間をともにしながら、おのれの輪郭をかたちづくっている。わたしたちは、この世界から糧を得ることで、はじめてこの軀を養うことができる。そのかぎりにおいて、わたしたちは一人の例外もなく、何ものかにとっての食客である。2023/05/19
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