内容説明
1999年、あの超ベストセラーの映画化が決定!
主役の最終オーディションに残った少年二人それぞれの運命。
一人は約束された世界的スターの座に就くが、「もう一人のハリー」は!?……選ばれなかったNo.2が20年後に見た光景・・・ 少年マーティンは両親の離婚に伴い、父の住むロンドンと母の住むパリを行き来しながら成長する。
ある日、マーティンは父に連れられて行った撮影現場でプロデューサーの目に留まる。
世界的大ベストセラーの映画化で主役を演じられるのか?
だが、最終セッションで、もう一人の少年が主役に選ばれてしまう。
マーティンの希望は潰え、いやでも自分の運命を「奪った」ライバルの栄光を見続け、挫折感に苛まれることになる。
マーティンは人生を棒に振ってしまったのか?
セカンド・チャンスはあるのか?
名作『ナタリー』の作家が描く選ばれなかった「ナンバー2」の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ルピナスさん
78
ハリーポッターについて、ハリー役にはもう1人の候補がいて、選ばれなかった事を原因とする苦難から逃れられず苦しみ続けていたとは考えた事もなかった。毎年のようにハリー、ハリー、ハリー。気持ちを切り替えられない。失敗はバネになるとか、引き摺りすぎだ前進しろとか、本人でなければ何とでも言える。最終候補者だったと打ち明け話のネタにできる位の人間ならここまで苦しまなかった。でも人間が抱く気持ちの深さは人それぞれ。これ以上先は読めないと一時期思ったが、希望が待っていた。まだ人生長い。彼にはこれからの人生楽しんで欲しい。2023/02/23
なつこうへい
5
ハリーポッター役のオーディションで、最後まで争い、選ばれなかったマーティンの苦悩する物語。その長い年月、ルーブル美術館で職を得、カリムに出会い、ソフィーに出会い、最後にダニエルに会って、話して、再起する姿はほっとする。2023/02/14
みずいろ
3
ハリー・ポッター役のオーディションに落ちてしまった方の少年の物語。就職先の上司に力を認められたことで、自分が苦しんだのは「彼」のせいではなく、自分が負けたという敗北感のせいだったと気づく。親以外の第三者の力は本当に大きい。さらにダニエルと話し、どんな人生にも光と闇があり、敗北の人生も光だけの人生もないことを知る。現実と創作が混ざっているのだが、現実が描かれると創作が少し色褪せるというか…ダニエルの発言も勝手に創作しちゃっていいのか?と雑念が。こういうのはノンフィクションで描かれるべきかなと思う。2025/11/17
つくし
2
この小説は多くの人に読んでほしい。オーディションの結果目前にあった「ハリー・ポッター」役を得られなかった少年の話。ハリー・ポッターに関わる出版や映画のバックグラウンドも実名で描かれていてドキュメンタリー的にも読み応えがあるのだけれど、それと対比するように描かれる主人公の少年がいかに活路を見出すのか、まさに日進月歩のリアルさ、静かな痛みに惹きつけられながら一気読みしてしまいました。2024/01/21
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