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内容説明
コロナパンデミック以来、資源価格の高騰、ロシアによるウクライナ侵攻など、世界は激動の時代に突入した。20世紀の二つの世界大戦を経験し、インフレ、大量失業、国際通貨危機などの問題と格闘したケインズ。その知恵を今こそ学びたい。
目次
はじめに 何度も生死を繰り返すケインズ
第1章 誤解の元となった『自由放任の終焉』
第2章 産業政策はケインズ政策の重要な柱
第3章 一般理論をどう読むか
第4章 「ケインズ以後」から見たケインズ
終章 ケインズから現代へ~一つの読書案内
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
94
経済思想史ご専門の根井先生の最近の著作です。ケインズの著作から現在の世界経済の状況を俯瞰していて久しぶりに頭の体操となったような感じです。今までのケインズの観点とは異なり、産業政策という観点から分析していることが新鮮でした。また最後の方での読書案内が参考になり再度一般理論やその関係本をひっぱり出して読もうという気にさせてくれました。2023/11/13
skunk_c
59
ケインズの理論を詳細に解説するというよりは、当時の社会への処方箋となるような姿勢をもって、理論を構築していった姿を描いている。また先行するアダム=スミスやマーシャルから、対抗馬ハイエク、さらにはシュンペーター、そしてポスト=ケインジアンにも言及しながら、経済学全体を俯瞰する内容もあった。現代的な価値としても、単純にその理論を当てはめるというよりは、その思考方法や哲学への再評価の面が強く感じられ、とても興味深く読むことができた。ジョーン・ロビンソンなどは読んだこともあったのでその理論背景も知れて良かった。2023/02/21
Sam
49
新書でこの薄さ、経済学士の自分なら気楽にスラスラ読めるだろうと思ったら大間違い、我が傲慢を大いに恥じた。高度な経済知識やケインズ理解が前提になっており、必死の思いで読み終えたものの十分理解できたとはとても思えない。それでもケインズの主要論文として名高い「自由放任の終焉」についての解説は参考になったし、最終章に引用されるスキデルスキーの著作には興味を持つことができた。途中で放り出したままになってる「説得論集」に再チャレンジしてみよう。2023/01/16
志村真幸
4
著者は経済思想史の大家。 本書は、ケインズの文章をじっくり読むことを通して、そのイメージを修正し、現代の状況にまで当てはめることをめざした一冊だ。 『自由放任の終焉』や『一般理論』といった主著から重要なところを抜き出し、精読することによって、ケインズの本来の姿が見えてくるようになっている。さらにケインズの弟子たちやケインズ研究者の見解も多数が紹介されており、広い視野からバランスよく捉えることができる。 ケインズの思想をある程度は理解した読者を想定しており、もう一歩先のケインズが分かるようになる。2022/12/11
ハラペコ
1
ここが良く分からない場合はマクロ経済学の教科書の該当箇所を読み直して欲しい、といった文言がいくつかあり、それなりの前提知識を要求する。とはいえ比例・反比例関係や捨象した要素や設定している前提を視覚化するための等式は登場するが、複雑な計算式は出てこない。全体的にケインズの思想に対しての単純な通説(軽率に財政出動を推奨するなど)を修正していく形で議論が展開される。 不安が貨幣愛を生むとか、完全雇用は滅多にないなど、無機質な主流経済学とは一線を画す要素がある。2025/05/11