内容説明
数学界に自分の頭脳を捧げたいと思っている上杉和典は、互い才能を認め合っていた野球部エースの早逝に触れ、彼が命を削っても成し遂げたかった真の目的を探し始める。それが自分の人生を揺るがせるものになるとは知らずにーー。
野球は、そんな底の浅いものじゃない。大事なのは、高校生が自分で考え、全力を投入し、勝敗という形でその結果を受け止め、自分の心身に反映させて、さらに考え、ぶつけ、その繰り返しで心を成長させ、自分を信じる気持ちを構築する事だ。それができるのは、勝ちを目指さない野球だけなんだ。 ーー本文より
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
38
数学界に自分の頭脳を捧げたいと願う高校生・上杉和典が、互い才能を認め合う野球部エース片山の早逝に触れ、彼が命を削っても成し遂げたかった真の目的を探し始める青春小説。自らの死期を知っていたはずの片山が、元ヤンキーの大木文武を野球部に引き入れていたことを偶然知ってその背景を探り始める上杉。際立つ家庭環境の格差も描きながら、飽きっぽい文武に野球を続けさせるべく、仲間の力も借りて手を打ってゆく上杉の手腕や、その後の展開はやや出来すぎな感もありましたけど、試行錯誤の先に彼が見出した真相と決意がなかなか印象的でした。2023/04/19
hnzwd
20
主人公が甲子園出場を期待されていたピッチャーが最期に何をしたかったのか、を受け継いでいくというストーリーはまあ。。なんでそこまでするのか?って思ったり、特殊技能を持つ知り合いがポコポコ出てきたりと、違和感持ちながらよみましたが、、シリーズ物だったんですね。青い鳥文庫まで手を広げたら、また感じ方が違いそう。2023/10/14
雪丸 風人
19
主人公の少年は数学の鬼。他人に関心の薄かった彼が、高校球界の至宝の遺志に心を動かされて奮起し、周囲を巻き込んで奔走するという物語です。少年が遠大な目標のために頭脳を活かしまくるところがクールだったな~。思わぬテーマが盛り込まれていると終盤で明らかになり、目が覚めるような思いでした。熱量高めの野球シーンも魅力でしたが、それだけではない深みがありましたね。孤高の主人公の価値観が出会いで塗り替わっていくところもイイ。ぱっと見、長っ!と狼狽えましたが、読み始めればすぐですよ、すぐ。(対象年齢は13歳半以上かな?)2024/02/21
一五
14
選抜の決勝見て、読みだしたら高校球児の話だった。あの上杉君が珍しくも、人をかまいたおす。KZのメンバーは頼りになるな。しかしその球児がナカナカの………。が、上杉くんが 悩んでいた進路を見つけたかもしれないのもその球児の存在。次は皆 大学生なんだろうか あっまだ高2?2023/04/03
toshi
12
ストーリは面白いんだけど、納得できないところも多い。 シリーズの設定がどうなっているのか分からないけれど、黒木をはじめ昔の仲間達が無償の協力をするのは何故? そして気持ちを無理やり数学や物理法則に関連付けるけれど、ちょっとズレていたり明らかに間違ったり。 読んでいて面白くないし、辞めた方が良い。 今まで読んだ藤本ひとみの中では一番良かったけれど、この作者はちょっと合わないかも・・。 ところで栗林をはじめて公園に呼び出すのにメールを送ったのに、公園で会ってアドレス交換するって。。。2023/03/07