内容説明
第二次世界大戦のさなか、連合国輸送船団の改装タンカーが、Uボートの急襲をうけ沈められ、海面下を漂いはじめた。だが船内は、当面のあいだ生存可能な条件が保たれていた。閉じこめられた男女5人は、生き延びるための闘いをはじめる。一方、はるか恒星間宇宙をゆく異星人の大移民船団があった。彼らは冷凍睡眠のもと新天地を目指しているが、計画の根幹を揺るがす事実が判明した。ふたつの物語が交互に進行する本格SF長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひさか
29
1983年2月末早川書房海外SFノヴェルズ刊。2023年3月創元SF文庫化。40年経っての文庫化というのも驚きだが、内容にも驚き。何よりも、海のタンカー沈没と恒星間宇宙船団の二つの話がどう絡むのかが、ストーリーの核心というかキモなんですが、ホントにあっ!と驚く展開で、これはもう凄かったです。早川出版時のあとがきを修整した訳者の伊藤典夫さんの文庫解説も楽しい。2023/06/19
鐵太郎
25
まったく異なる二つの冒険譚が世代宇宙船という懐かしきSF設定にのっとって進行し、最後に一つに収斂します。一つは、第二次大戦の大西洋で遭難し、あり得ない偶然で巨大なタンクの中に閉じ込められて海底に沈んでしまった男女。もう一つは太陽が暴走し温暖化が進み、生存できなくなった惑星アンサの水棲人たちが、わずかな希望を持って人工冬眠技術を備えた巨大宇宙船団によって移住できる星を目指した旅の話。どちらも、生存の危機を乗り越えようと苦闘し、最後の時を迎えて絶望の淵に追い落とされつつあります。最後のセリフが秀逸でした。2023/10/11
もち
18
「絞首台に上がるまで、死ねない体なんじゃないかしら」◆半壊したタンカーと、銀河を旅する宇宙船。閉鎖環境下、絶滅は見え透いていたが――。二つの種族は、生き残る僅かな道を選び続けていく。その先で、運命の縺れが、不屈の二隻を新天地へと誘う。■1966年に発表された海洋×宇宙サバイバルSF。思想や表現にはさすがに時代性を感じるものの、異質な二つの状況を結び付ける離れ業の魅力は色褪せない。気の効いた最後の台詞が、本作の全てを物語っていて、秀逸。2023/04/02
伝奇羊
13
第二次対戦中に沈んだタンカーの中に取り残された人々が困難の中100年3世代!生き続ける…エピソードと、居住できなくなった故郷を捨てて新天地へ向かう水棲生物の恒星船のエピソードが交互に語られる。恒星船も冷凍睡眠の欠陥により数名の乗組員が5世代にわたって船を管理していくこととなるが…。ややSF設定が古い感じを受けたが(レンズマンや「宇宙の孤児」、ホーンブロワーなどが引用される場面もあり)後書きを読むと1966年の作品だった。2024/08/19
スターライト
11
早川書房から出ていた海外SFノヴェルズ版の文庫化。早川版刊行から今年で40年というのに驚かされるが、地球へと向かってくる異星人の宇宙船と、海底に沈んだ船のサバイバルが交互に語られる以外のことは既読ながら忘れていたので、純粋に手に汗を握る展開を楽しめた。宇宙船、タンカーとも生き残りをかけた(前者は種族全体の命運をかけ、後者は乗員という規模の違いはあれど)物語だが、それがラストで一種のファーストコンタクトにつながるところが新機軸。数世代に渡る時間的スケールで進行するが、読者を飽きさせない。名作。2023/07/23
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