内容説明
猫丸という風変わりな名前の“先輩”は、妙な愛嬌のよさと人柄をもち、愉快なことには猫のごとき目聡さで首をつっこむ。そして、どうにも理屈の通らない謎も彼にかかれば、ああだこうだと話すうちにあっという間に解き明かされていくから不思議だ。悪気なさそうな闖入者たちをめぐって温かな読後感を残す表題作や、電光看板の底に貼り付けられた不規則な文字列が謎を呼ぶ「ねこちゃんパズル」、一見変哲のない写真を巡って恐るべき推理が提示される「恐怖の一枚」など全五編を収録。日常に潜む不可思議な謎を、軽妙な会話と推理で解き明かす連作集。/【目次】ねこちゃんパズル/恐怖の一枚/ついているきみへ/海の勇者/月下美人を待つ庭で/解説=三橋曉
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ち~
27
日常の謎5編。『なぜ?どうして?』を通りすがりの猫丸先輩がサクッと解決。「うん、確かに言われてみると…」と思わせるヒントがアチコチにある。なのに、読み終わってみると「…でも、ホントにそうなのかな?」が心の片隅に残っていたのがまた良い。だって猫丸先輩の“妄言”だもんねぇ。2023/03/29
二分五厘
25
短編集のタイトルが『推測』『空論』ときて『妄言』って…どんどんヒドくなってる(笑)どうしょうもない電子機械オンチ(「こんぴゅうたあの電子頭脳の類いはとんと」)で好奇心は人一倍旺盛、無駄に手際の良いアルバイター、童顔で小柄な三十男、猫丸。彼を先輩と呼ぶ男連中は大抵ヒドい目に遭うような。ちょっとした謎のネタに首を突っ込んでは、それをこねくり回しているうちに突拍子もない真相(めいたもの?)を探り当てる。状況から勝手に推論しているだけで、なんの証拠も無いのに、真実味があるからややこしい(笑)久々に堪能しました。2023/05/13
hnzwd
24
日常の謎に特化していく猫丸先輩シリーズ。見た瞬間に真相に辿り着く切れ味は健在。冗談のような決着にしちゃうのもこのシリーズなら許せるかな。恐怖の一枚、が良かった。そろそろ長編の非日常が読みたいなあ。2023/04/18
bayashi
22
妄言とある通り、筋は通っててスッキリするけどなんか不安は残るミステリ短編5編。久しぶりな猫丸先輩を素直に楽しむべし。でも煙草出すなら吸ってて欲しい。2023/06/22
マッちゃま
19
シリーズ第6弾の5作品からなる短編集。細かいことを気にしない人は本書から入っても大丈夫な作り。やっぱり猫丸先輩シリーズは面白い。一見どうでもいいようなことに見えるけど不可解な謎が提示され、そこにふらりと現れては謎を解き明かしていく去って行く猫丸先輩。いわゆる日常の謎ミステリ。不穏当な結末や逆にほんわかしたオチ、硬軟を取り混ぜた様々な読み味が楽しめました。主に短編での登場が多い猫丸先輩ですが「…の推測」「空論」と続いて今回は「妄言」ときたもんだ。さて次はどんなワードになるんでしょうね。寝言?戯言?つぶやき?2023/04/13