ハーパーコリンズ・ジャパン<br> 頬に哀しみを刻め

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ハーパーコリンズ・ジャパン
頬に哀しみを刻め

  • ISBN:9784596766557

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内容説明

『このミステリーがすごい! 2024年版』(宝島社)海外編第1位!
「ミステリが読みたい! 2024年版」(早川書房)海外篇第3位!
アンソニー賞、マカヴィティ賞、バリー賞3冠!
MWA賞長篇賞最終候補作!

黒人の父親、白人の父親、惨殺された息子たち――
血の弔いが幕を開ける。
「懺悔と贖罪に彩られた哀しき父親たちの挽歌」
宇田川拓也 ときわ書房本店 (本書解説より)

デニス・ルヘインの『ミスティック・リバー』を訳したときと同じくらい、感情を揺さぶられた。
――加賀山卓朗(翻訳家)

読者の鈍った心身を痛めつけ、頭蓋と魂を揺さぶる! S・A・コスビーの才能は、もはや疑いようがない!
――小島秀夫(ゲームクリエイター)

僕らの生きるこの世の悲痛を描く、コスビーは詩人である。
――霜月 蒼(ミステリー評論家)

疾走する文章によって読む者の心をたまらなく震わせる物語である。
――杉江松恋(書評家)

現代クライムサスペンスの最前線をゆく傑作だ。
――吉野 仁(ミステリー評論家)

殺人罪で服役した黒人のアイク。出所後庭師として地道に働き、小さな会社を経営する彼は、ある日警察から息子が殺害されたと告げられる。白人の夫とともに顔を撃ち抜かれたのだ。一向に捜査が進まぬなか、息子たちの墓が差別主義者によって破壊され、アイクは息子の夫の父親で酒浸りのバディ・リーと犯人捜しに乗り出す。息子を拒絶してきた父親2人が真相に近づくにつれ、血と暴力が増してゆき――。解説:宇田川拓也

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

W-G

329
物語内で起こる表面的な出来事自体は特段複雑なところはなく、警察に存在を知られていない女性の存在にたどりついた時点で、その先は読者にとっても一本道。読みどころはそこではなく、アイクとバディ・リーの背負ってしまった、ぶつけどころのない哀しみや怒りの描写だろう。様々なマイノリティを登場させ、ノワールにありがちな暴力性をはね上げるスパイス的な使い方にせず、主人公二名に複雑な背景を持たせるに役立てたのが新しいところ。極端に尖りすぎた部分がなく、広い層を取り込む可能性を残しながら高いクォリティを担保できた一作。2024/04/09

starbro

254
『このミステリーがすごい! 2024年版』海外編第1位!と言うことで読みました。黒人・白人のバディ物、ミステリと言うよりも映画化を前提とした追跡アクション劇でした。この辺りがミステリ三冠とかにならかった理由かも知れません。ゲイの黒人は現代のアメリカでもかなり差別されているんですね。 https://www.harpercollins.co.jp/hc/books/detail/14835 2023/12/09

seacalf

136
若きゲイの夫婦が何者かに虐殺された。犯人を追うべく彼らの父親がタッグを組む。ひとりは黒人、ひとりは白人。生きてきた背景がまったく違う2人。舞台は差別が今なお色濃い南部。唖然とする程の圧倒的暴力シーンが展開するが、息子達がゲイである事をどうしても認められず彼らの幸せを頑なに拒絶してきた父親の心情が見どころのひとつ。めっぽう強いアイクが主軸として語られるが、どんな苦境にも軽やかに減らず口を叩きながら立ち向かうバディ・リーの憎めない性格が好きだった。複雑なテーマやアメリカの暗部を曝け出し、読み応えのある一冊。2023/09/29

のぶ

128
前作の「黒き荒野の果て」も良かったが、本作はそれ以上に良かった。物語はダウンタウンで起きた銃撃事件。銃撃され殺されたのは黒人・白人のゲイカップル。この作品で中心になるのは、主人公となるアイク。被害者となった黒人男性の父親と、もう一方の被害者の父親のバディ。捜査が進まないことに業を煮やし、自力で犯人を探し始める。この設定が目新しいものだと感じた。LGBTQをテーマに据えていて、背後に潜む謎は何かというところが全編を通しての読みどころになっている。アメリカに根差す黒人差別も作品全体を覆っていたのも興味深い。2023/04/29

ケイ

117
再婚相手が彼女を選ぶ理由が全く分からなかったけれど、あっそこか!となるクライマックスあたりは すごい展開。その展開のためにアイクの推進力は必要不可欠だが、バディ・リーの拗ねた悪ガキおじさんぶりが、核なのだ。キース・リチャーズがイメージとして浮かぶリーが、女性と敢えて距離を置き、距離があるからこそその女性特有の美しさを愛でる様子が切なくいとおしい。イケおじ2人は最高だったから、私は彼のいない続編は読まなくていい。2023/12/27

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