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内容説明
20年間、警視庁青梅警察署山岳救助隊を率いてきた著者が、実際に取り扱った遭難の実態と検証を綴る。安易な気持ちで奥多摩に登る登山者に警鐘を鳴らす書。
著者が救助活動で携わってきた遭難を大別すると「滑落」「道迷い」が圧倒的に多いが、行方不明や疲労、軽装備によるものも後を絶たない。
著者は総じてそこに「侮り」があると指摘する。
著者が手がけた『すぐそこにある遭難事故 奥多摩山岳救助隊員からの警鐘』(2015年、東京新聞出版局)『金副隊長の山岳救助隊日誌―山は本当に危険がいっぱい』(2007年、角川学芸出版)、『奥多摩登山考』(2002年、東京都公園協会)から顕著な事例を抽出し、新編としてまとめた一冊。
通常の山岳遭難のみならず、山中で発生した飲酒やドラッグ、強盗などの刑事事件についても解説する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NADIA
44
登山しないけど私は山岳遭難のノンフィクションが好き。今まで見たり読んだりしたのは、山岳部の学生たちが冬の雪山で遭難するパターンが多かった。もうね、雪山は絶対登っちゃダメ。特に3000メートル級はヤバいね。ならば奥多摩の山々に良い時季に登れば安心だよね。私でも行けるはず、たぶん。と読み進めるけど、やっぱりいろんなパターンで遭難するんだね。持ち物とか出発時刻とか服装とか装備とか心構えとか、とにかく山岳救助隊のお世話にならず、無事生きて帰るためによく学習と準備してから行こう。私は行かないけどね。2024/04/10
奈良 楓
19
【良かった】● すぐ近くに鉄道が通っているとは思えない死亡事故の数々。これら死亡事例集を見るだけで山を侮ってはいけないという強烈な教訓となった。 ● ライトや食料や防寒具は低山でも携行すべきと強く思った。 ● 東京近郊なのに行方不明事例が続出しているのは怖い。道迷いの怖さを思い知った。 ● 滑落事故を甘く見ていた。2024/02/01
roatsu
19
既刊の作品を再編した増補改訂版?のような一冊。テーマはずばり題名の通り。奥多摩を舞台に長年山岳救助や山で起きた事件の捜査に邁進してきた金さんが、遭遇した事例や体験を基に「侮るな」は実際にどういうことなのかを読み手に訴えかける。首都圏のハイカーには馴染の山々に潜む固有または山全般に共通の危険要素を学び、体力作りと心構えの涵養を筆頭に装備や技術も整えて安全な山歩きを心掛けたい。結局は手間を惜しむな、自分勝手に安易に考えるなに尽きる。厳冬期登攀や難ルートの岩壁に万全の準備を尽くして挑み、結果事故に至るケースと、2023/05/21
あきひと
18
東京青梅署山岳救助隊19年の筆者が書いた奥多摩遭難事例のレポート。クライミング用語、救助ルート選択など専門的な用語が多数だが臨場感たっぷり。救助隊は尾根筋や沢の道は重点捜査するけど、下に落ちたらなかなか見つからないし、下り急斜面でのダブルストックの使用是非、山事故にベテランは関係ないなど多くの示唆を含んでいる。また、奥多摩の山はかなり歩いたけど、まだまだ、奥深いなと思った。2024/03/14
CTC
14
23年ヤマケイ文庫。初出は『岳人』や『山と渓谷』等の連載で、本書は別々の版元で刊行された3冊を再編集したもの。著者は08年に定年退職した元警視庁警察官。高校時代から山に親しみ、警視庁で山岳会をつくり、94年からは青梅警察署山岳救助隊副隊長として奥多摩に勤務。本書はその頃(13年まで嘱託で勤務している)の“救助日誌”である。本書は巻頭の地図が大変丁寧に内容に対応して作られており…遭難経路を地図で辿ろうとしても地図に記載がない!というこの手の本の“お約束”がほぼ皆無だった。しかし東京の山でも遭難の多いこと!2024/04/18