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内容説明
これまで数多くの一般向け統計本が出版され、人気を博してきた。だがその多くは「こんなデタラメな統計や調査がありますので、気をつけましょう」といったメッセージを発するものだった。肝心なのは「データのウソ」を暴くことではない。データの作成や分析を特定のやり方で行うこと、提示されたデータや分析を読み解く際の限界と意味を、その都度丁寧に考えることにある――。現代社会で欠かせない「数字との付き合い方」を示す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
うえぽん
50
計量社会学者が、データや分析の「ある程度妥当」と「いい加減」を見分けるために必要な数量化、比較、因果、確率、分析に係る「センス」を紹介した書。職業や民族など分類自体が難しい場合の数量化の複雑さ、比較のために条件を揃えると有意味な比較が困難になる「比較のパラドックス」、原因以外を徹底的に同じにすると原因と考えられるものが限定される「処置のジレンマ」、コイントスなど自然発生的偶然には偏りを含みやすいこと、要約・予測・因果の分析手法の違いを認識すべきであることなど、ビッグデータ時代に一般人にも必須の知識が満載。2024/08/09
ほし
16
予想よりも難度が高い内容が含まれており、読むことに苦労したものの、良い学びになりました。統計において扱われる数字は、そもそもどのような性質を持っているのか。ちゃんと前提を揃えて比較しようとすればするほど、データが特殊なものになりすぎて使えなくなるというパラドックスや、未知の要因による分析への影響を減らすための無作為化比較実験、分析方針における要約と予測、因果の違いなど、興味深く読みました。そもそも統計調査によって何かが分かるはどういうことなのか、その仕組みを知りたい方にお勧めの一冊です。2023/03/03
おっとー
8
エビデンスやら目標を数値化しろやらで客観性の権化とみなされがちな数字と統計。しかし本書は統計に生じうる偶然やバイアスの様々な例を示し、それをいかに平坦にするかなどの手法が示される。結局は数字の裏には様々な意味があり、そしてその数字は変化しうる曖昧なものなのだけど、かといって人間は数字や統計なしには生きることができない。数字の扱い方を幅広く網羅した入門書。2024/07/13
はぎはぎ
7
データを集めたり生かしたりするのに、統計学をどう用いるべきなのかという観点から書かれた本。初級よりも難しい概念も扱われるが、数式はほぼ用いられていないので、文章で意味を追うことができる。数値化されたものは何でも信じるのも、取ってきたデータが完全に正確であることはあり得ないとして数字を全く信用しないのも、どちらも不適切な態度であり、制約がある中でいかに数字を利用するのかが重要であるというのがメッセージ。つまり、制約を理解しつつデータから何がわかるのかをいかにくみ取るのかというのがここで言う「センス」である。2023/03/31
ぷほは
7
kindle版。ここ数年、筒井先生の著作が参考書リストに入ってないことがない。統計学の考え方一般の解説というよりも、より現場レベルでの調査における計量研究の活かし方が平易な文体と最新の論文参照などを駆使して語られていく。超絶苦手な分野なのでここまでクリアに書かれても苦労しながら通読したが、最後に「個体」をめぐる話、ヴェーバーの「ゲホイゼ」(殻、枠)についての話が出てきたのが個人的にアツかった。かつての「鉄の檻」を作り出した数字の流れが、今はPCとAIに力を借りながら偶然を当てはめることを可能にしてくれる。2023/02/17
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