内容説明
札幌にある『本のない、絵本屋クッタラ』はインクブルーの三角屋根が目印の、店主・広田奏と共同経営の八木が切り盛りする本屋兼カフェ。メニューは季節のスープセットとコーヒーのみだが、育児に悩んだり、自分の今の立ち位置に迷った客が今日もやってくる。名の通り店に本はないが、奏は静かに耳を傾けると、後日悩みに寄り添う絵本をそっと差し出す。それは時に温かく、時に一読しただけではわからない秘密をもっていて……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
247
札幌が舞台。本屋兼カフェ。タイトルの通り本はない。広田と八木が共同経営して切り盛りするが、八木がとにかく可愛くて、いい奴なんだよね。悩んでる客に、悩みに寄り添う本でなく絵本を後日に差し出してくれる。青山美智子作品を読んでるのかと錯覚に陥りそうになる。登場する絵本は全て実在する絵本。自分が悩みを打ち明けたら、どんな絵本を差し出してくれるのかなと行ってみたいが、スープセットとコーヒーだけではね。お腹が満たされないな。もうちょっと何か別のメニューもあってほしい。食い気の多い自分を自覚した。 2023/03/18
シナモン
140
とても良かったです。舞台は札幌。本のない絵本屋ってどういうことだろう?って思ったら…とっても素敵なお店でした。ゆっくりと穏やかな時間が流れてる。八木くん効果もあるのかな😂。季節のスープがどれも美味しそう。ビーツってなじみがないので食べてみたい。引き出しにピンクや赤のクリップを入れてる先生のエピソードは確かにそういう見方もありだな、と気づかされました。訪れるお客さんの痛みを取ってくれる絵本屋「クッタラ」。こんなお店、行ってみたいなぁ。 物語に登場する絵本のリストがついてるのも嬉しかったです。2023/02/12
machi☺︎︎゛
112
札幌にある本のない絵本屋、クッタラ。ここは共同経営で広田奏と八木が切り盛りする本屋兼カフェ。だけどここには並べられた本はない。ある事件が起きてからは本が一切置かれなくなった。カフェのメニューはこだわりのスープセットとコーヒーのみ。お客の要望に応えて店主たちがピッタリの本を探してくれる。悩みは人によって様々だからそれに見合う本も多種多様。生きていく以上悩みは尽きないけどこんなお店があったら助かる人多いだろうな。2023/06/19
Karl Heintz Schneider
97
「さて、どんな御本をお探しでしょう?」「ずっと曇り空なんです。」札幌、豊平川のほとりから一本入った、三角屋根のあるインクブルーの掘っ立て小屋、それが絵本屋クッタラ。絵本屋と言いながらこの店には本は置いていない。その代わりに季節の野菜を使ったスープがある。心に悩みを抱えた客は、そのスープを一口飲むとホッとしたように悩みを話し始める。客の話をもとに店主の奏(かなで)は、その客が必要としている絵本を探し出す。共同経営者は八木という人物らしいがどうも人物造形がはっきりしない。その理由は第一話であっさり明かされる。2023/04/03
はる
89
優しい物語。絵本屋クッタラのメニューは、スープセットとコーヒーのみ。そして、悩みを抱えるお客さんのために、ふさわしい絵本を紹介します……。最初の章ではすっかり騙されました笑。なかなか新鮮な設定ですね。というか、衛生的にOKなの?作中に自分の知っている絵本が出てくるのが嬉しい。続編もありそうですね。それにしても、こんなにお客が少なくて営業的に大丈夫なんだろうか…。2023/05/06




