内容説明
広島・長崎と同様に語り継がれる蛮行の象徴
ドイツ東部の都市ドレスデンは「エルベ河畔のフィレンツェ」と呼ばれ、豊かな歴史と文化、自然に恵まれ、教会や古都の街並み、陶磁器や音楽で知られていた。しかし1945年2月13日~14日、軍事施設がないにもかかわらず、英米軍から三度も無差別爆撃され、焼夷弾の空襲火災によって灰燼に帰し、25000人の市民が殺害された。本書は、英国の歴史ノンフィクション作家が、市井の人々の体験と見聞をもとに、ドレスデンの壊滅と再生を物語る歴史書だ。
「ドレスデン爆撃」については、広島・長崎と同様に「戦争の悲劇」の象徴として長く語り継がれ、さまざまな研究がなされてきた。本書はそのような蓄積をもとに、個人と家族の物語に焦点を当てつつ、空襲以前から、三波にわたる空襲の恐怖と火災の脅威、戦後の混乱と東独時代、現在の復興までを詳細に叙述している。独英米の当事者の多様な証言、日記、手紙など新史料を駆使して肉声を再現し、都市の多難な歩みを克明に描いている。
「耳を傾けてもらえるのを待っている大勢の声がある。その多くが初めて聞かれるものである」。ウクライナが戦火に見舞われている今、本書には耳を傾けるべき声が満ちている。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takao
2
1945.2英米空軍がドイツ・ドレスデンを空爆2023/06/23
あらい/にったのひと
0
翻訳がどうなの、ということを2年前に言っていて、そのまま積まれていたのを読み終わり。感想は変わらず、これ翻訳どうなの…というのに終始した。内容はまあ普通、爆撃を受ける側の視点が多いけど、する側の視点も多く、ここらへんは参考になる。ところで、「(注:イギリスの)航空機乗組員12万5千人のうち、5万5573人が戦死した」(p343〜344)ってなんか死亡率高すぎなんだけど元はなんだろう。死亡率44%?? 2024/10/24
たつみ
0
歴史というよりノンフィクションのスタイルで書かれているので大変読みやすい。そして空襲の惨禍も想像しやすい。確かにドレスデン爆撃は悲惨だが、他の都市に比べてややも特殊な扱いをされてきた経緯も作中ではなぞっている。同時期の東京大空襲やその後の広島長崎と比べても、ドレスデン爆撃が特に英国に引き起こした内省は大きく、それは例えばドレスデンに比べて広島では「殺されたのは七万一千名に過ぎない」というような言説(p347)からもよくわかる。現在のウクライナとガザの構図に重なる2023/11/15
ryo
0
構造物を瓦礫と化し、人々を窒息死もしくは焼死に導き、黒焦げの遺体の山を作り出す。都市が地図から消し飛んでしまう。焼夷弾とは、大火災もしくは熱線とはいかに恐ろしいものか。2023年になってもバハムトで焼夷弾が使用された可能性があるという。その落下地点にはドレスデンや東京等で起きた悲劇が起きているのだろうか。2023/05/10
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