親子は生きづらい - “トランスジェンダー”をめぐる家族の物語

個数:1
紙書籍版価格
¥3,740
  • 電子書籍

親子は生きづらい - “トランスジェンダー”をめぐる家族の物語

  • 著者名:勝又栄政
  • 価格 ¥3,366(本体¥3,060)
  • 金剛出版(2023/01発売)
  • ポイント 30pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784772419345

ファイル: /

内容説明

親子は、なぜこんなにも分かり合えず“生きづらい”のか――。

トランスジェンダーである“僕”は、幼い頃から抱いてきた違和感が成長と共に膨らみ、ある日、家族へのカミングアウトを決意する。

“僕”の語り――
「男になりたい」ずっと嫌なことばかりで、我慢ばかりで生きてきた。
でも、泣き叫ぶしかできない僕を見る母親の目は、冷ややかだった。
ムカつくのに、あの人に愛されなかった思うことが、すごく悲しかった。
“母”の語り――
念願の娘が息子になんて。天と地がさかさまになるような気持ちだった。
美穂は、なんてわがままな子なんだ、と。
受け入れることはおろか、話を聞くことすら私にはできなかった。
(「カミングアウトの明暗」より)

“僕”と“母”。親子それぞれの肉声で語られる物語は、溶け合うことなく互いに時を刻み、やがて予期せぬ軌道を描いてゆく――。
本書は、年月を重ねるごとに変化する、トランスジェンダーを取り巻く問題が克明に記されるとともに、戸惑いや葛藤を行きつ戻りつして進む、母親の本音が生々しく語られるノンフィクション作品。家族だからこそ伝わらない複雑な想い。理解とは何か。共に生きるとは何か。この小さなひとつの家族の物語に、どこか「わたしたち」自身の姿を見出さずにはいられない。

親子の語りを受け、ジェンダー・セクシュアリティを専攻する臨床心理士・佐々木掌子氏(明治大学)による「解説」と、フェミニズム・クィア理論を専攻する清水晶子氏(東京大学)、臨床心理学者・東畑開人氏(白金高輪カウンセリングルーム)を迎えた鼎談「願われた幸せの先――「生きづらさの理由」は説明できるか?」を導きの糸に、「違ったままで、でも共に」生きるという結論にたどりついた、家族の物語を紐解いていく。

目次

第1部-とまどいの中を生きる――カミングアウトと家族の物語
序章-親へのカミングアウト
第1章-誕生と違和感(幼少期~中学校時代)
第2章-反発と孤独(高校~大学時代:カミングアウト前)
第3章-カミングアウトの明暗(告白と母の背景)
第4章-母と子、異文化の咀嚼と変化(母との対話と終戦)
第5章-身体の変化と初めて生まれた“夢”(手術~大学受験/生き直し)

第2部-長い闇を超えて
序章-22歳から見る未来 30歳から見た過去
第1章-男と女のはざまで――境界から見えたもの
第2章-心地よさと寄る辺なさと――当事者コミュニティへの帰属と格差
第3章-傷つく私・傷つける私――立場の反転による価値観の瓦解
第4章-「わたしは罪人」――社会での葛藤と劣等感の再燃
第5章-暗い闇の中から――他者の関わりと回復への光

終章-違ったままで、でも共に――親子の10年間の結論
追伸-これからの「わたしたち」

解説-本書を立体的に理解する一助として/佐々木掌子
鼎談-願われた幸せの先――「生きづらさの理由」は説明できるか?/清水晶子・東畑開人・勝又栄政

あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

M

46
何不自由なく経済的にも恵まれて育てられても、親と性格的に相容れず(特に母親の影響が大きい…世間体や自分の理想像の押しつけや恩着せがましいタイプ)、不安障害を抱えて生き辛くなる人がいる。それに加えて著者の場合性同一性障害のために自分の存在意義やアイデンティティを見つける術も理解者もない。家でも外でも。女でもなく男の壁は高く。嘘で塗り固めて取り繕って。居場所も生きる意義もない。母親との時系列的形式の自叙伝なので双方の気持ちが読める。決死のカミングアウトを母親が罵倒するシーンは辛すぎた。過去を葬れたらいいのに。2023/02/04

チェアー

6
この本の良さは、母子が最後まで美しくわかりあってはいないことだ。わかり合っていないが、相手が生きることは望む。わだかまりは消えていないが、相手が幸福で新た希望する。ここに家族という枠だけでなく、社会的にも「望む」「許容する」という落ち着き先の展望があるように思う。その許容が重なっていけば歴史となり、社会となるのではないか。 2023/03/28

チェアー

5
どこに、いつ、生まれるのかによって生きづらさが違う。その生きづらさは、自認する性と生物学的な性が一致し、異性愛者であればまったく感じることのないつらさだ。それでもこの世は生きづらい。なら、彼、彼女はどんだけ生きづらいのか。 2025/01/07

hasebo

3
トランスジェンダーとしての自叙伝であるとともに、お母さんのその時々の心境など、自然な形で描かれている家族の本。親にわかってもらえない、友達や周囲となぜか馴染めない、そんな経験は誰にもあるのではないだろうか。そんなときにどちらが正しいという正義ではなく、お互いのバックグラウンドを感じてみる、著者の真摯な姿勢には好感を持てたし、今個人的に関心がある対話にもつながるのかと思った。2022/12/23

FUKUIKE

2
★★★☆☆ 興味本位で図書館で借りる。読み始めて軽い気持ちで読むべき本ではないことに気付かされた。読んでいる時も読み終わってからも心が苦しい。2023/02/16

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/20458311
  • ご注意事項

最近チェックした商品