内容説明
自らの殻を破る50冊!
本書は一般的な意味でのブックガイドとは異なる。
本書は、日本最大の公的国際交流機関である、国際交流基金の職員が、自分たちの「愛読書」を取り上げ、それらを通じて、国際文化交流に懸ける自らの思いを語っている。
今、世界は著しく変化している。
ウクライナ戦争やコロナ禍、新冷戦はじめ、国際社会において対立が深まり、人類が悲惨な戦争の教訓から得た国際協調の精神が大きく揺らいでいる。
そもそも、グローバリゼーションの時代にあって国境を越えることが容易になったと考えられていたが、私たちは本当に〈越境〉していたのだろうか? ただ、自己の意識を肥大化させていただけではないのか? はたして他者と出会っていたのか?
これが本書の問題関心である。
加速し続ける現代社会において、私たちは立ち止まって、じっくり考えることができなくなっている。
しかし、複雑化し続ける今の社会において本当に求められているのは、より長いスパンで社会を見通す目ではないだろうか。
「書評=ブックガイド」という方法を取ることで、こうしたより根源的な問いにアプローチすることができる。国境を越えて生きるための50冊!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
108
国際交流基金という存在を初めて知りました。1972年設立から50周年の節目に職員が50冊の思い入れのある本を紹介している。野崎浩司の終わらない物語を読もうが面白かった。「折角アメリカに駐在するのだから、ここはひとつアメリカ文学を代表する作品を読んでやろうと思い分厚い文庫三冊組の白鯨を鞄の底に詰めてニューヨークにやってきたのだが、これがなかなか読み終わらない」コロナ禍でロックダウンとなって読んでみると、自分の状況にそっくりだった。訳違いの本の読み比べも試した。「私が白鯨を読み終わるのはいつになるのだろうか」2023/03/04
とある本棚
14
国際交流基金のスタッフによるブックガイド。漫画から小説、人文社会科学に至るまで幅広く取り上げられており、ブックレビューの背後から透けて見える各人の国際交流に対する想いや考えが面白い。国際交流基金の独法という組織の性質上、各事業が外交から無縁でいることはできないものの、なるべく受け手に目を向け、日本文化の押し売りにならないように各スタッフが心を砕いていることが印象に残った。公の機関の行う交流事業は、国益や外交との距離感が難しいが、そのバランスをとることこそが仕事の醍醐味とも言える。2022/12/19
ぐっち
11
タイトルに惹かれて手に取ってみた、国際年金基金で国境を越えている職員の皆さんのブックガイド。私とは興味の方向が違うようで既読の本はほとんどなかったが、いくつか気になった本があったので、見つけたら読んでみようと思う。村上春樹の本が多かったのは、国境を越える気持ちと通じるものがあるからなのか。2025/02/24
かおちゅん
4
学術、芸術、市民社会といった広い意味での文化分野で交流する国際交流基金のみなさんのブックレビューはとても楽しい。紹介されていた古書をたくさん注文してしまった。深部の文化交流を経験したレビュアーの言葉は面白い。たくさんの気づきと疑問提起に満ちている。 人は他者と出会い知ることで初めて自分自身について知ることができる 一方的にモノと金を流し込むことで彼らの民衆の生活に思いを致さなかった 村上春樹作品の文化的無臭性と普遍性 風の強い日に訪ねてくる男は信用できるといった清少納言に共感するフィンランド人2024/04/14
お抹茶
4
国際交流基金職員達の愛読書を紹介。編集者の力かもしれないが,みんな文章が上手。「国境を越えるとは他者と出合うことであり,探しているのは見知らぬ他者ではなく,未知なる他者」,「外国やそこで生きる人々を他者と捉えていた『わたしの輪郭』が揺さぶられ,溶かされる」という表現があり,そうした感覚を本から得られるのだ。見ず知らずの人が薦める本を読み,そこで共感(あるいは異論)が得られたとしたら,それはもう「国境を越えた」ことになるのではないだろうか。紹介される本は古典的名著から最新の本までは幅広い。2022/12/24
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