内容説明
私のイエスは、「教会」には留まらない。
むしろ、そこに行くことをためらう人のそばに寄り添っている――
気鋭の批評家とともに、『新約聖書』マタイ・マルコ・ルカ・ヨハネの四福音書を丹念に読み直す。
キリスト教の視点や学問的なアプローチから論じるだけでは見えてこない、今に生きるイエスに出会う。
文庫化にあたり「イエスの涙と悲しみの石」を追加。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
30
文庫で再読です。福音書を丁寧に読み解き、聖書に忠実なイエス様の姿を浮き彫りにしている印象です。キリスト教的視点や学問的アプローチのみでは見えない独自のイエス様に出会えました。2024/05/19
二戸・カルピンチョ
19
イエス・キリスト。新約聖書や書簡、その他の文献からイエスを読み解く。言葉とは別に「コトバ」という単語を使い不可視である部分を示している。すべては神のみ旨の通りなのであろうか。以前別の本の感想に「愛を忘れないために悲しみはなくならないのだろうか」と書いた。人はだいぶ長い時間をかけて、やっとここまでなんです。全くキリスト者でもなければ聖書も読んだことがないので、大変新鮮な読書だった。こんな私が言うのもおかしな話だが、理想のイエスだった。2025/03/22
Ayakankoku
8
読み切るのにだいぶ苦戦。大好きな若松さんの本だから、しっかり読みたいと思いつつ専門的すぎた。若松さんのイエス像が、教会には留まらない、むしろそこにいくことをためらう人のそばに寄り添っているという部分が響いた。2024/08/27
どら猫さとっち
7
本書は単行本で読んだ覚えがあるが、文庫化に際しまた読もうと思いたった。いわば形を変えた再読である。遠藤周作「イエスの生涯」に次いで、イエス・キリストの生涯を通して、信仰とは、救済とは何かを問いかける。静謐な文章のなかに、ときに凄まじいほどの光を感じさせる。難解ではないが、問いかける言葉の重みを噛み締めて読むと、聖書の言葉が寄り添うように身近なものになる。ずっとそばに置きたい一冊。2023/03/12
みじんこ
6
様々な文献が引用されつつイエスの生涯を福音書から読み解いていく。単なる文字としての聖書以上にその奥にあるコトバを感じることが重んじられている。ハンセン病を患いながらも聖書を読んだ近藤氏、確かに彼は常人以上の何かを得られると思える。エックハルトの神殿と商人についての引用、人は祈りを通じて神との取引を願ってしまうというのは自分も無関係ではないと感じた。ユダへの「生まれなかったほうがよかった」は糾弾ではないとする解釈、彼の宿命を思いやる見方は憐れみがある(イエスがゲッセマネで悶えた際も彼を思ったかは疑問だが)。2024/03/12




