内容説明
シャーロック・ホームズは英国の名探偵である。アーサー・コナン・ドイルの小説のキャラクターで、世界中で探偵の代名詞として知られている。探偵であるからには様々な事件を捜査するわけだが、果たしてその現場となった建物や作中に登場する建物は、具体的にはどのようなものだっただろうか、という疑問がわいてくる。そこで原作の描写や建築用語などを拾い上げ、それらを分析して、できる限り記述に則って「このようなものではなかったか」を考察してみよう――というのが本書の目的である。(「はじめに」より)
ホームズがとワトスンが暮らした「ベイカー街221B」
不気味な魔犬の呪いが続く「バスカヴィル館」
社交嫌いの人間が集う「ディオゲネス・クラブ」
それらは一体どんな建築だったのだろう?
シャーロック・ホームズ研究家の北原尚彦氏と一級建築士の村山隆司氏が17の事件を題材に、物語の中に登場する建物を徹底考察。
コナン・ドイルの書いた文章を分析し、解読し、間取りの細部に至るまで緻密に建築を設計した。
この本を読めば、ホームズの生きたヴィクトリア朝の英国建築が分かる。
建築が分かればシャーロック・ホームズ・シリーズはもっと面白い。
さぁ、この本を読んで謎解きの旅に出かけよう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
149
テレビドラマ『シャーロック・ホームズの冒険』は19世紀英国の建築様式を忠実に再現したというが、似たような部屋を走り回っている印象だった。ベイカー街のホームズ博物館も内部の部屋はともかく、外側は雑居ビルの外壁を改装しただけで雰囲気に欠ける。それだけに原典に登場する建物を、可能な限り記述に従って絵にしてみる本書の試みは興味深く読んだ。あの事件はこんな場所でどう起こったのかと考えるのは、ホームズを読む新たな視点を提供してくれる。収載のイラストや間取り図を掲載した作品集が出たら、より物語が面白く理解できるだろう。2022/05/15
榊原 香織
70
外観イラストと見取り図。 ふむふむ、ミルク皿はここに置いてあったのか(まだらの紐) The Abbey Grangeの訳がアベ農園はあんまりだな、とかいろいろ。 2022年2月21日発行というのもファンならうれし(ベーカー街221B)2023/04/28
けんとまん1007
65
ジェレミー・ブレッド演じるホームズが脳裏に浮かぶ。こういうの、好きだなあ。そこに住む人の息遣いが聴こえてきそうだ。2022/12/09
Die-Go
59
図書館本。「シャーロック・ホームズ」シリーズに出てくる建築物を、具体的に間取り図まで作って読みといたもの。よりホームズの世界に浸れる。この本と『ホームズ聖地巡礼の旅』を持っていれば、イギリス旅がより楽しくなるだろう。★★★★☆2022/05/25
レモン
46
読友さんにご紹介いただいた本。想像していたものとまったく違っていた建物も多く、楽しく読めた。〜様式などと書かれていても、なかなか立ち止まって検索するまでに至らず、また検索してもうまくイメージできないので大変参考になる。未読作も多いので、これから読む際にすんなりイメージできそう。やはり小説を読んでいる方がより楽しめると思うが、間取り好きの人も楽しめるだろうか。2023/09/18