内容説明
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ちひろの絵の魅力のひとつは、透明感のあるさまざまな色彩のハーモニーです。とりわけ、紫を中心としたピンク、ブルー、藤色などが、ある時は甘く優しく、ある時は重く鋭く、喜びや悲しみの表現として多彩に用いられています。ちひろのテーマカラーである紫の美しさを堪能し、画家の創作の核心に迫る作品集。ちいさな画集第2弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ🍀
176
紫が好き。季節の移ろいとともに咲き誇る花の色。心の色。不安な眼差しだったり、この世で一番美しい母のほほえみだったり。いわさきちひろさんの絵は遠い夢の世界を描いている。雨の音や海を見つめる影も、夕焼けの空や雪降る夜に暖炉の前で猫を抱く少女の背中も。大人の目では見えなくなってしまうものを思い出させてくれる。懐かしい情景や純粋だったやさしさが風に消えていってしまう。高貴さと邪悪さをも示す紫は内面の孤立をあらわす切なさの色でもある。私たちはこの世界中の感情を揺れ動かす自然の色から憂いを包容する安らぎを感じている。2023/01/14
新地学@児童書病発動中
108
いわさきちひろの絵をまとめて鑑賞するのはこれが初めてだった。どの絵も、可憐で透きとおるような美しさがある。この画集では、紫の色がちひろの絵で効果的に使われていることが説明されており、興味深い。紫の色の中にある気品のある美しさは、ちひろの絵の本質と共通するものだと思う。紫を中心にして、黄色や赤色の暖色を組み合わせた色のハーモニーが、彼女の絵のあたたかさの源泉なのかもしれない。2015/03/14
yumicomachi
3
豊かで繊細な色彩と筆づかいで可憐な子供たちを描いたいわさきちひろ。その作品世界を「紫」という美しくも複雑な色を鍵にして解説する本。薄い文庫本だがたくさんの絵がカラーで収録されていて、眺めているだけでうれしくなる。巻末には美術評論家・中山公男による「ちひろの絵画世界」という文章と、いわさきちひろ美術館館長(当時)・長嶋香矢による「作品解説」、「ちひろのあゆみ」(年譜)、「アトリエのちひろ」(作品制作過程の紹介)があり、鑑賞を深める手助けをしてくれる。ちひろの魅力を改めて発見できる一冊。1993年11月刊行。2021/09/21
裏庭にゃんこ
3
水をたっぷり含ませた筆で描いた水彩画かと思ったら、洗面所で色を洗い落としてはまた上から描き、また落としては描きということを繰り返していたなんて思わなかった!2011/11/30
psychological lapin
2
最近再読した本です。いわさきちひろさんは桃色がお好きだったそうですが、紫色を効果的に使われたそうです。繊細で美しい色彩の絵がたくさん載っています。解説も充実しているので、さまざまな世代の方に親しんで頂けるかなと思います。この本を読んでから東京のちひろ美術館に行くと、よりいっそう原画に感銘を受けるかもしれません!2015/08/12