内容説明
「あるはある あらぬはあらぬ」――遺された断片を読み解き、哲学史上最大の謎に迫る、大家による哲学ミステリー!
紀元前五世紀前半に活躍したパルメニデスの詩的断片をめぐって後世になされた数多の解釈は、どれも道を踏み誤っている。遺されたテクストを丹念に読み直し、「あるもの」をめぐるすべての論証を「帰謬論法」として捉えてみれば、「あらぬものはあらぬ」と、否定に否定を重ねる道の彼方で、「あるもの」の本性に肉迫することができるだろう――。最新の考古学的発見をも参照しつつ、政治家・立法者でもあった哲学者の全貌を復元せんとする独創的な試みは、やがて誰も予想しなかった意外な結末へと辿り着く。古代哲学最大の難問を解き明かす、著者畢生の書!
[目次]
プロロゴス
第一章 海上を放浪する国
第二章 序歌
第三章 真理の道
第四章 思惑の道
第五章 二つのヘーローオン
エピロゴス
パルメニデス断片テクストならびに翻訳
注
参考文献
事項索引
人名索引
目次
プロロゴス
第一章 海上を放浪する国
第二章 序歌
第三章 真理の道
第四章 思惑の道
第五章 二つのヘーローオン
エピロゴス
パルメニデス断片テクストならびに翻訳
注
参考文献
事項索引
人名索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
YO)))
14
パルメニデスは詩的断片において、エレア的アルゴリズムにより「あらぬもの」の存在を帰謬論法的に否定し、「あるものがある」を証だてる。 だが一方で、人間が人間である限り、この"「あらぬもの」の帰謬法的仮定"即ち「思惑の道」を捨て去ることはできない。 何となればそれは「あるもの」即ち「真理の道」への回路であり、また死すべき者・青人草に運命が負わせた永遠の影でありトラウマなのであるから。─というわけでのちに持続とか「差異と反復」とか純粋経験とかが生まれたのだと思いました。2023/04/23
Ex libris 毒餃子
10
古典文献学的様相が強い一冊。誤訳ってやはりあるんですね。2023/01/14
AnemoniaAnemoni
1
いやあ、なかなか歯ごたえがあるようで、筋立てそのものはシンプル。これまでのパルメニデス読解の恣意性というか悪しき独創性をなるべく批判しておきたいという山川せんせいの意志を強く感じさせる論考でよき。大森荘蔵や、とりわけ井上忠への仮借ない批判的直言は超鋭利。2023/09/20