内容説明
石室内部が赤、緑、黄、黒などの文様で、あざやかに彩られる装飾古墳。
4世紀半ばから7世紀にかけて現れた「古代のアート」は多くの謎を秘めている。
カラー図版を多数使って、その謎に世界的視座から迫る。
・九州と関東周辺に集中し、近畿に少ないのはなぜなのか?
・装飾古墳が九州に多いのは、中国に近いからなのか?
・筑紫磐井の乱の敗北が装飾古墳を生んだという通説は本当か?
・なぜ埋葬施設に人に見せるための装飾をするのか?
・海外にも装飾された埋葬施設は存在するのか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
月をみるもの
16
当時倭国のボーダーであった九州と茨城に多い装飾古墳。竪穴式から横穴式石室への移行は九州と畿内で別々に起こり、二度目での畿内での移行は新王朝の始祖たる継体天皇(+土師氏)による従来の死生観の革新であった(そしてそれが磐井の乱の原因ともなった)のではないかというのが著者の仮説。とにもかくにも、熊本に行って当地の装飾古墳をみてこよう。なんてったって小学生の時に「暗黒神話」を読んでからの憧れの地ですから。2025/07/05
MASA123
9
奈良県民としては、九州の古墳の話など、取りに足らないこと、邪馬台国も早く決着つけてほしい(もちろん近畿説で)とか思いながら、それでも「装飾古墳の謎」というタイトルは気になった。「装飾古墳の話」というタイトルなら、たぶん、本書を手に取らなかっただろう。 キトラ古墳の壁画は見てきたので、装飾古墳なら、こちらにもあるよと思ったが、高松塚やキトラは「壁画古墳」という分類で、装飾古墳とは別の形態なのだ。装飾古墳のほうは、時代が古くて、原始的な(クスコ壁画にも通じる)古墳内部の壁画で、墓室の形態も異なり・・・ 2023/08/23
sakanarui2
8
装飾古墳とは、埋葬施設の内側や外側に線刻や彩色などで装飾が施された古墳のこと。それって高松塚古墳やキトラ古墳のこと?と思ったが全然ちがう。より時代が古く、描かれているものや画材も異なり、作られた地域は九州と関東が中心(近畿は空白地帯)。色鮮やかな幾何学模様で埋め尽くされた石室の復元写真を見ると、とても日本で古代に作られたものには見えず、衝撃的だった。 装飾古墳の成り立ちについて通説への反論、古代日本人の死生観、人類にとっての絵画の誕生まで、日本にとどまらず世界各地の装飾古墳を参照しながら論じている。2026/09/01
しょうゆ
7
専門外の新書を衝動的な興味で読んでみた。結果、古墳の話から世界の王墓や壁画へと続き、人類の絵画のスタートのような話につながってゆき、自分の専門とつながって、そうなるのかと面白かった。古墳に惹かれる自分の何層かめには、きっとこういう興味につながってゆくのだろうと再発見。関東にもいくつかあるみたいなので、見てみたい。古墳を学ぶものとしては、本当に初学者で古墳そのものの勉強をまずはしないとなとも思ったが、面白かった。2024/09/25
tsubomi
5
2025.06.14-07.17:九州地方に多い装飾古墳は飾られた死者を、近畿地方にある‘壁画古墳’は隠された死者を葬ったものと結論付けていて、特に後者は百済からの影響が大きく、2種類の古墳は全く異なる死生観に立脚した埋葬施設ではないかと考えられているとのこと。本書の後半は世界各地域の装飾墳墓についての紹介で、アフリカ、ヨーロッパ、アジア、アメリカと多彩。ラスコーの洞窟壁画なども取り上げられていて人が絵を描くとはどういうときか・何のためかについても考えさせられました。2025/07/17




