内容説明
石室内部が赤、緑、黄、黒などの文様で、あざやかに彩られる装飾古墳。
4世紀半ばから7世紀にかけて現れた「古代のアート」は多くの謎を秘めている。
カラー図版を多数使って、その謎に世界的視座から迫る。
・九州と関東周辺に集中し、近畿に少ないのはなぜなのか?
・装飾古墳が九州に多いのは、中国に近いからなのか?
・筑紫磐井の乱の敗北が装飾古墳を生んだという通説は本当か?
・なぜ埋葬施設に人に見せるための装飾をするのか?
・海外にも装飾された埋葬施設は存在するのか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MASA123
7
奈良県民としては、九州の古墳の話など、取りに足らないこと、邪馬台国も早く決着つけてほしい(もちろん近畿説で)とか思いながら、それでも「装飾古墳の謎」というタイトルは気になった。「装飾古墳の話」というタイトルなら、たぶん、本書を手に取らなかっただろう。 キトラ古墳の壁画は見てきたので、装飾古墳なら、こちらにもあるよと思ったが、高松塚やキトラは「壁画古墳」という分類で、装飾古墳とは別の形態なのだ。装飾古墳のほうは、時代が古くて、原始的な(クスコ壁画にも通じる)古墳内部の壁画で、墓室の形態も異なり・・・ 2023/08/23
うしうし
5
本書の後半部を占める「比較考古学の方法を用いた」という全世界の装飾墓や洞窟壁画との検討は、何となく中途半端なものに思えて、斜め読み。九州での装飾古墳の装飾が「会葬者が玄門からのぞき見る」(p118)ため、すなわち「飾られた死者」(p113)に対するもので、近畿の「入口から棺が見えない」「隠された死者」の埋葬風習によるものというのは、著者の独自見解で説得力も高いと思うが、「死者のケガレを忌避する」埋葬風習を継体大王の王権と関連づけたり、「死生観イレオロギーの大変革を進めたの」を2023/06/17
Junko Yamamoto
2
私も九州の装飾古墳はローカルな風習、、、ぐらいにしか思っていなかった。死生観の反映、という見立は秀逸。考古学で物足りないのはこういった古代人の「心」の理解が足りないこと。死の穢れ感はどこからはじまったのかも日本の死生観で疑問に思っていたことだが、それも古墳から説明できている。2023/06/25
ナオ
1
世界との比較は若干ついていけず。2023/11/15