カースト アメリカに渦巻く不満の根源

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カースト アメリカに渦巻く不満の根源

  • ISBN:9784000615563

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内容説明

アメリカの日常にはびこる黒人差別は決して根絶されず再燃する.ピューリツァー賞受賞・黒人女性作家が自らの体験をもとに,差別の底に潜む,白人,バラモン,アーリア人の「優越」を保持するカースト制のメカニズムを探る.アメリカの民主主義を蝕むカーストの恐るべき悪とは.世界的ベストセラー,待望の邦訳.

目次

群衆のなかの男
第一部 永久凍土中の毒素と、いたるところで上がる熱
第一章 毒素の死後の生命
歴史の診断
第二章 古い家と赤外線
第三章 アメリカの不可触民
見えないプログラム
第二部 人間の分類の恣意的構築
第四章 ロングラン上演とアメリカのカーストの出現
第五章 「おまえたちのために作った容器」
第六章 人間性の尺度
第七章 デリーの濃霧のなかからインドとアメリカの類似点を見つける
第八章 ナチ党とカーストの促進
第九章 沈黙という悪
第三部 カーストの柱
カーストの基盤 アメリカの不満の起源
第一の柱 神の意志と自然の法則
第二の柱 遺伝性
第三の柱 族内婚と、結婚と子作りの制御
第四の柱 純潔vs.汚染
第五の柱 職業のヒエラルキー ジャーティと土台
第六の柱 非人間化と烙印
第七の柱 実施手段としての恐怖、支配手段としての残酷
第八の柱 生まれつきの優越vs.生まれつきの劣等
第四部 カーストの触手
茶色い目と青い目
第十章 ミスキャストの根源
第十一章 支配集団の地位への脅威と、最高位の危うさ
第十二章 この世の罪を一身に負うスケープゴート
第十三章 不安なアルファと、負け犬のいる意味
第十四章 日常生活へのカーストの介入
第十五章 最下層がいないと困る訳
第十六章 最下位にはなりたくない 浸水する地下室に詰め込まれて
第十七章 初期のカーストの前線で
第十八章 サチェル・ペイジとカーストの不合理
第五部 カーストがもたらす影響
第十九章 憎悪の高揚感
第二十章 カーストの避けられないナルシシズム
第二十一章 ウェーブした黒髪のドイツ人少女
第二十二章 ストックホルム症候群と従属カーストの生存
第二十三章 ヒエラルキーの境界を守る突撃部隊
第二十四章 コルチゾール、テロメア、そしてカーストの致死性
第六部 反動
第二十五章 台本の変更
第二十六章 岐路とカーストの復活
第二十七章 カーストを象徴するもの
第二十八章 投票にかけられる民主主義
第二十九章 カースト制度の代償
第七部 目覚め
第三十章 聖なる紐を脱ぎ捨てる
支配カーストの先鋭化
第三十一章 心が最後のフロンティア
エピローグ カーストのない世界
謝辞
訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

スイ

19
「人種という社会構成に基づいてばかにし、痛めつけ、決めてかかり、劣っていると見なしたり固定観念を持って見たりする行為や制度は、レイシズムと考えることができる。ある人を制限し、引き留め、規定された序列に入れておこうとする、その人が属しているとされる区分に基づいて高く評価したり貶したりしようとする行為や構造は、カースト主義と見なすことができる。」 インド、ナチスドイツ、そしてアメリカはカースト主義の国であるとして、アフリカ系アメリカ人の歴史と現状を丹念に述べている。 具体的なエピソードも多く、どれも読むのが2022/12/21

tsuneki526

10
以前読んだ社会学の本の一節「俺たちは黒人じゃない、ニグロなんだ」や、あるいは最盛期のタイガー・ウッズが社会的に成功している黒人グループに招かれて、「お前は白人じゃない、こっち側の人間だ」と言われたエピソード、それに映画「ノマドランド」にノマド生活をする有色人種が出てこない理由も結局のところそれはカーストのせいなのだとわかる。もともとアメリカは暴力と差別で成立した国である。どれだけ自由や平等をうたったところで底辺に流れるこの意識は強固であり、それがこの国を大混乱に陥れることになるのではと思っている。2024/04/16

シンプルねこ(うみねこ)

9
アメリカの人種差別がなくならない理由など、今まで分からなかった謎が解けたような気がした。差別の根が深くて読んでいてつらかったが、知らないことを知り、問題意識を持つことも大事だと思った。そのほか、インドやユダヤ人の差別にも言及されていた。 2024/05/07

Akiro OUED

6
将来、マイノリティーに転落する白人バラモンの恐怖心が、トランプを大統領に押し上げた原動力だったと分析する。人種カースト社会のアメリカで、黒人大統領の登場が白人バラモンの寿命を縮めた遠因だったとは悲劇だね。残酷な描写が多いので、気分の落ち込んでいるときには読まないほうがよい。2022/10/31

Neishan

4
読んでいるだけで辛い部分も多々あれど、読んで本当に良かった。大体おかしいと思っていた。警察官が丸腰の若者や少年などを射殺する国。年に3桁くらいの数で、尋常ではない。それが未だに続いている状態の根源は何か、ということをおもい知らされる。「科学的」な概念として、支配する側が持ち出す論理(人種)が、実は空虚なものであるということ。なのに、あまりに多くの不公平と虐殺、搾取がまかり通る社会、それがアメリカなのだと。単にインドの「カースト」をアメリカに当てはめただけの本ではありません。力作であり、名著です。2023/02/07

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