内容説明
読書が大好きで元気いっぱいな中学生の女の子・月島雫は、図書貸出カードでよく見かける名前が頭から離れなかった。天沢聖司――全部私よりも先に読んでいる。そしてあるきっかけで出会った二人は次第に惹かれあう。だが、聖司は夢を叶えるため中学卒業と同時にイタリアへ旅立ってしまった。それから10年。雫は児童書の編集者として働きながら夢を追い続けていた。遠く離れたイタリアで奮闘する聖司を想い、自分を奮い立たせていたが……。柊あおいの不朽の名作に完全オリジナルの「10年後」の物語を加えた実写映画を小説化!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
assam2005
26
原作にある中学生時代を回想しながら、10年後のイタリアと日本で夢を追い続ける二人を描く。会えない、触れられない、ほんの僅かの時間しか話せない遠距離恋愛。触れ合う時間に拘らず、夢を叶える唯一無二の同志としてお互いを求める。それがこの二人の恋愛。恋愛を一つの型に限定する必要はないのでしょう。こういう「共に生きていく」方法もある。「人生は一度きりの贈り物なのだから、やりたいことを精一杯やる」その方法がこの二人は一致していた、というだけ。一致するパートナーに出会えるのもちょっとした「贈り物」のような気がします。2022/11/30
ゆき
14
「耳をすませば」に10年後を追加した物置。10年後の雫は夢も仕事も苦戦している。それでも聖司くんと10年後も変わらず続いていたことは奇跡のように感じられたけど、辛くて苦しいのに1番会いたい人に会えないのは辛いだろうなぁと思った。2022/11/07
はなはな
12
映画公開を待ちきれず購入。うん、やっぱ聖司くんカッコイイです!ジブリ映画の場面も多々登場し、思わずニヤニヤ。そして10年後の展開にさらにニヤニヤが止まりません笑 映画も観に行きます!2022/09/19
蕭白
10
取っ掛かりに時間はかかりましたが、過去のお話の部分でアニメを懐かしく思い出したりしていると、サクサクっと読了してしまいました。実写版も観てみようと思いました。2023/05/13
文太
10
『耳をすませば』に10年後の物語を追加して、実写映画化したもののノベライズ版。10年後と中学生時代が交互に展開され、対比されることが多い。中学生時代は真っ直ぐな感性で、出会った事柄にファンタジックな感想を恥ずかしげもなく言っていたが、大人になりしがらみから言いたいことも言えない。いつか叶うと思っていた夢も叶わない思いつつ追いかける夢に。そして一歩ずつ夢を叶える聖司と挫折する雫。中学生時代から雫の方が思い悩むことが多い。しかし、ラストは中学生時代と同じく丘の上で想いを伝えあえて良かった。2022/10/18